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陸上1万m女王の33歳新谷仁美がマラソン挑戦 自らの商品価値求める「仕事人」の生き様

「1万mやハーフで日本記録を出してもビジネスにはならない」

「何よりゴール後が楽だった。脚は疲れているのですが、こんなにもハァハァしなくて(息切れなく)走れるの!? と驚きました。私はペース配分をまったくしない人間なので、1万メートルや5000メートルのレースも、最初から全力で走っちゃうんです。レース時に時計をつけていないのも、それが理由です。

 私、スタート前はいつもすっごく緊張して、もう泣きそうになるんですが、どうしてそこまで追い込まれるかと言うと全力で走るから。30分間、全力で走るって、表現のしようがないほどの恐怖なんです。しかもトラック競技はタイムが正確に出るので、結果が丸わかりだし、みんなに走る姿を見られているし、当然結果も出さなきゃいけない。何もかも、イヤでイヤで仕方がないというプレッシャーのなかスタートするので、恐怖心しかありません。

 一方、1時間以上走るハーフやマラソンは、なるべく力を温存しなければならない競技。スタート時から怖がっていたらそれだけで疲れて長時間走れないよってコーチに言われ、非常にリラックスして走れた。それが好印象として残ったことがよかった」

「これから4種目で、日本記録、だそうよ」。これが、ヒューストンハーフマラソン後、コーチと新たに決めた目標だった。

「実はそれ以降も、マラソンなんてチャレンジする必要がない。2種目の日本記録を持っていたら十分でしょう? と思っていました。でも、1万メートルやハーフで日本記録を出しても、ビジネスにはならないんです。日本記録でものになるのは、100メートルかマラソンだけ。ならば、専門外の種目も記録を出していかないと、と考えました。

 この話の流れで言うと、『じゃあ、5000メートルで記録出しても意味ないじゃん?』と思われるかもしれませんがそこは、私のモチベーションを上げるため。やっぱり4種目、日本記録を出した人っていないので、達成できれば特別感がある」

「陸上は嫌いだが、走ることは仕事。生きるために必要だから走る」。よく新谷はインタビューのなかで、こう発言している。4種目に対しても、「正直、走りたいか走りたくないかと聞かれれば、走りたくない」。しかし、チャレンジをすることで、自分の商品価値を上げたい、と話す。

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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