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「負の遺産」から「地域のハブ」に ベンチャー企業が提案する新スタジアム活用法

スタジアムのインフラ化で解決したいスポーツ界の課題とは

 得田さんは、前職でスタジアム建設を考える民間企業と意見交換をすることがあったが、やはりネックになったのは高額な建設費と維持費だったという。

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「民間企業は当然、利益を求めます。なので、スタジアム建設費が100億円以上となると、本業で工場を作った方が儲かるんじゃないかという話になる。ただ、工場を作った方が売上げは上がるかもしれないけれど、スタジアムを作ることで地域の課題を解決したり、地域住民の暮らしが豊かになれば、実際の収入は工場より少なくても補って余りある社会的価値があると思うんです。スポーツ庁でも今、社会的価値を含めたスタジアムの投資価値について議論されていますが、これからは算盤を弾いて終わりではなく、そこにスポーツ界や地域の思いも乗せた価値を考える時代。会計士として少し格好つけて『数字に思いを乗せます』と言っています(笑)」

 新たなスタジアムの在り方で解決したいスポーツ界の課題もある。それが「スポーツで利益を生む仕組み作り」だ。諸外国に比べ、日本のスポーツ界は「ビジネス」という観点では発展途上。特にアマチュアスポーツ界は、有志のボランティア精神に頼る部分が大きい。得田さんは言う。

「社会的価値があるから儲けなくてもいいということはない。誰かの頑張りに頼っていたら、頑張っている人が潰れたら終わり。それでは持続可能なものとはなりません。チームやスタジアムが当たり前に存在できるくらいの利益を得ることは、健全に持続するためにも必要です」

 例えば、スタジアムに商業施設を併設し、そのテナント料を収入として得たり、スポーツジムを併設してチーム職員が働いたり。地域が持つ課題と同時に解決できるものもあるだろう。スポーツと地域が持ちつ持たれつ、互いになくてはならない関係となるつなぎ目となるのが「スタジアム」というわけだ。

 自身の経験を踏まえ、スポーツとは「人生の質を上げる要素になると思います」と河辺さんは言う。

「スポーツをする、見る、応援する、支える、どんな形でも関わることで誰かとつながれたり、別のジャンルとつながれたり、人生が豊かになると思うんですよね。私自身、そうだったので。スポーツに恩返し、というより、関わっていたい。頼まれてはいないけど、スポーツで何かお役に立てませんか? みたいな精神かもしれません(笑)」

 スタジアムというハブを通じて、スポーツが地域の人々を笑顔にし、地域の人々がスポーツを支える。そんなプラスの循環が日本各地で誕生することを目標に、まずはスタジアム第1号の実現に向け、地道な活動を続けていく。

(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)

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