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「ちょっと面白い選手をとったよ」から19年 大野均はいかにして“鉄人”になったのか

ラグビー元日本代表LO大野均(東芝)は今季限りで現役引退を表明。41歳は19年間の現役生活に別れを告げた。20年以上にわたりラグビーを追い続けているライター吉田宏氏が、日本ラグビーを牽引してきたレジェンドの足跡を振り返る。

今季限りでの現役引退を表明した大野均【写真提供:東芝ブレイブルーパス】
今季限りでの現役引退を表明した大野均【写真提供:東芝ブレイブルーパス】

ラグビー記者歴20年以上の吉田氏が見た鉄人の足跡

 ラグビー元日本代表LO大野均(東芝)は今季限りで現役引退を表明。41歳は19年間の現役生活に別れを告げた。20年以上にわたりラグビーを追い続けているライター吉田宏氏が、日本ラグビーを牽引してきたレジェンドの足跡を振り返る。

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「ちょっとおもしろい選手をとったよ」

 東芝府中(現東芝)ラグビー部を率いていた薫田真広監督から、そんな話を聞いたのは2001年の3月だっただろうか。聞くと190センチを超える長身ながらBK級のスピードを持っているが、ラグビーは素人といっていいレベルだという。そんな「ちょっとおもしろい選手」大野均が、よもや日本のラグビーを語るうえで欠かせない存在までに成長するとは、当時は思ってもいなかった。

 5月22日、80人を超えるジャーナリストが参加したウェブを使った会見で、42歳の誕生日を迎えたばかりの大野は、静かにこう語り始めた。

「このように多くの方にお集まりいただきありがとうございます。今年も多くの選手が引退していく中で、私自身に対してこのような場を設けていただき心から感謝しています。大学からラグビーを初めて、素人同然の私を東芝ラグビー部に誘っていただき、社員をはじめ多くの方々に励まされながらここまで頑張ってこられました。

 灰になってもまだ燃えるというのが私の信条ですが、1年ほど前から膝の痛みがでてきて、昨年末より長い間に渡り別メニューで治療、調整を続けてまいりましたが、回復が見られず、また昨年のワールドカップでの日本代表の躍進や、東芝ラグビー部でも若い選手の台頭は見られ、とても頼もしく感じ、これ以上選手としてやり残したことはないという思いを感じて引退を決意しました」

 すこし長めに引用したが、このレジェンドがいかに謙虚な男かが言葉に滲む。歴代日本最多の98キャップを持つが、奢らず、相手を敬う姿勢は、福島県から上京してきた時と変わらない。このキャラクターは、ラグビーをプレーする時も同じだった。大野のプレースタイルを表現するキーワードは2つだ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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