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高校球児1030人調査した体組成データで分析 140キロを投げる投手に共通する身体的特徴

自ら課題を発見し、よりよい習慣を身につけられる選手を育成したいと笠原氏は語る【写真:小野瀬健二】
自ら課題を発見し、よりよい習慣を身につけられる選手を育成したいと笠原氏は語る【写真:小野瀬健二】

「速く走る」ができる身体の分析結果

 最後に、「速く走る」ことができる身体についても分析した。

 アンケートで「速い」「やや速い」と回答した選手とそれ以外の選手とを比較したところ、除脂肪量には差がないが、速い・やや速いと回答した選手の体脂肪率が明らかに低かった。つまり、筋肉量を維持し体脂肪を落とすことで速く走ることができるのではないか、ということが分かった。

「春季大会で勝ち上がったチームは、夏に勝てなくなるということをよく耳にします。試合が続くことでエネルギーの消費量が増えているにもかかわらず、選手は緊張状態となり、必要な食事量を食べられなくなってしまうことが少なくありません。その結果、体重が落ちてしまい、せっかく冬季トレーニングによって獲得した身体が衰えてしまうことで夏場には春と同じようにバットを振れなくなるのです。

 例えば夏場に除脂肪量が減ってしまうことに気付くことで、バットの重さをわざと軽くするというプロの選手がいます。このような気付きによって、なんらかの変化をさせることができればよいのですが、それに気付かず、いままでと変わらず練習していると、パフォーマンスが低下、さらには怪我をする要因にもなりかねません。だからこそ自分の状態を知っておくためにも、身近で手軽に計測ができる体組成のチェックはコンディション管理にとってもとてもよい方法なのです」

 今回の調査プロジェクトに協力してくれた高校野球の指導者たちに分析結果をフィードバックしたところ、よい反応が得られたと言う。

「測定することに興味を持った、トレーニングの動機付けになった、などの声が聞かれました。このような取り組みは選手自身が課題を考え、解決していくための一歩になるはずです」

 毎日あるいは定期的に、自分の状態を知るために測定することは手間と時間がかかる。しかし手間と時間をかけた分だけ、ちゃんと自分に返ってくると話す。

「毎日のコンディショニングの必要性を選手に話すとき、歯磨きを例に挙げます。歯磨きをしない人はいませんよね。たとえ、1日歯磨きをしなくても虫歯になる人はいません。でも累積すれば、歯のトラブルは起きます。コンディショニングも歯磨きに似ていて、毎日やるからこそ成果が出てくるものです」

 まさしくクールダウンやストレッチなどのリカバリー対策、トレーニングも同様だ。一度やった・やらなかったからと言ってすぐに効果が出るわけではない。これを歯磨きの原理で考えると、毎日の習慣にして継続するからこそ、怪我予防やパフォーマンス向上につながるというのだ。

「選手が自身のコンディショニングをできるようになるためには行動変容が必要不可欠です。時には選手が行っていたこれまでの習慣をガラリと変えなければならないかもしれません。そのために必要な材料、測定や評価した情報を選手が理解しやすいように提供するのが、トレーナーやコーチなどの指導者の役割だと考えています」

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