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ラグビー日本代表も箱根駅伝出場校も活用 広がるスポーツのGPSデータで何が分かるのか

昨今、GPSデバイスで選手たちの動きをトラッキングし、取得したデータをコンディショニングや戦略分析に役立てるスポーツチームが増えている。今回は慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の神武直彦教授、ユーフォリア社のスポーツサイエンティスト・佐々木優一氏のお二方、およびSOLTILO Knows株式会社代表取締役の本田洋史氏、カタパルト社小林泰憲氏に、GPSデバイスなどセンシングテクノロジーの今後の可能性についてお話を伺った。(取材・文=前田成彦、文中敬称略)

GPSデバイスなどセンシングテクノロジーの今後の可能性
GPSデバイスなどセンシングテクノロジーの今後の可能性

フィールドでの選手の「動き」をデータ化する

 昨今、GPSデバイスで選手たちの動きをトラッキングし、取得したデータをコンディショニングや戦略分析に役立てるスポーツチームが増えている。今回は慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の神武直彦教授、ユーフォリア社のスポーツサイエンティスト・佐々木優一氏のお二方、およびSOLTILO Knows株式会社代表取締役の本田洋史氏、カタパルト社小林泰憲氏に、GPSデバイスなどセンシングテクノロジーの今後の可能性についてお話を伺った。(取材・文=前田成彦、文中敬称略)

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 スポーツニュースなどで、プロ選手が上半身に胸当てのようなウエアを身につけて練習している光景を見たことはないだろうか。

 このウエアの背中側のポケットには、いわゆるGPSデバイス(※)が固定されている。

 GPSとは、アメリカが運用する人工衛星を用いた衛星測位システムのこと。軍事技術を起源とし、1990年代から社会インフラ化が進んでいる。代表的な応用例として自動車のカーナビやスマホのナビゲーションがある。ほかには航空機の自動管制システムなどにも使われている。

 近年増えてきたセンシング技術活用、GPSデータのスポーツへの応用について、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科の神武直彦教授は語る。

神武「人工衛星を使用した測位システムの総称を『GNSS(Global Navigation Satellite System)』といいます。GPS(Global Positioning System)とはその中で、アメリカが運用する衛星測位システムをいいます。世界には同様に日本の『みちびき』、ロシアの『GLONASS(グロナス)』、ヨーロッパの『Galileo(ガリレオ)』などがあり、さまざまな国が120基以上の人工衛星を打ち上げています。

 GPSデータのスポーツへの応用が特に進んだのは2000年代のこと。現在はフィールドスポーツを中心に40~50競技で採用されています。

 代表的な競技はサッカーやラグビー。ほかにもアメリカンフットボールやハンドボール、ホッケー、ラクロス、野球などにも活用が進んでいます。選手の身体に装着したウエアラブルデバイスで、一人ひとりのスピードや走行距離やスピードなどをデータ化。怪我の予防などのコンディショニングや練習強度のコントロールなどに役立てることが、今や当たり前になりつつあります」

(※衛星測位システムについては本来「GNSS」と表記すべきだが、本記事では一般呼称として「GPS」を使用する)

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 神武直彦教授
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 神武直彦教授

 例えば2019年のW杯でベスト8入りを果たしたラグビー日本代表チームでは、GPSデバイスから取れるデータを活用しチームを強化したことが知られている。

 また、2021年の箱根駅伝出場チームでも、新型コロナウイルス感染拡大による自粛期間、選手がGPS付きのスマートウォッチを付けて自主トレーニングで走った距離を記録。データを共有し合ってチーム内の競争意識を高めたことが報道されている。

 このように昨今、プロや学生スポーツのトップクラスのチームを中心に、GPSデータの活用が広がりつつある。

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