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少数精鋭の中央大でいかに駅伝を戦うか 名門率いる藤原正和監督が胸に刻む信念と葛藤

今年度の大学駅伝シーズンも佳境を迎え、毎年1月2日と3日に行われる正月の風物詩、箱根駅伝の開催が近づいている。10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝で2冠を達成した駒澤大を止めるのはどこか――。「THE ANSWER」では、勢いに乗る“ダークホース校”の監督に注目。今回は箱根駅伝で歴代最多の総合優勝14回を誇る名門・中央大学で、就任7年目を迎えた藤原正和監督だ。前回大会で総合6位に入り、10年ぶりのシード権を獲得したが、近年低迷していたチームをどのように立て直してきたのか。今回は少数精鋭のチームを率いる上で大切にしてきた学生主体の指導について、自身の心の中に生まれる葛藤とともに明かしてくれた。(取材・文=佐藤 俊)

中央大の藤原正和監督は学生主体の指導を掲げ、名門復活を目指している【写真:中央大学陸上競技部】
中央大の藤原正和監督は学生主体の指導を掲げ、名門復活を目指している【写真:中央大学陸上競技部】

箱根駅伝「ダークホース校の指導論」、中央大学・藤原正和監督インタビュー第4回

 今年度の大学駅伝シーズンも佳境を迎え、毎年1月2日と3日に行われる正月の風物詩、箱根駅伝の開催が近づいている。10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝で2冠を達成した駒澤大を止めるのはどこか――。「THE ANSWER」では、勢いに乗る“ダークホース校”の監督に注目。今回は箱根駅伝で歴代最多の総合優勝14回を誇る名門・中央大学で、就任7年目を迎えた藤原正和監督だ。前回大会で総合6位に入り、10年ぶりのシード権を獲得したが、近年低迷していたチームをどのように立て直してきたのか。今回は少数精鋭のチームを率いる上で大切にしてきた学生主体の指導について、自身の心の中に生まれる葛藤とともに明かしてくれた。(取材・文=佐藤 俊)

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 チームを指導して7年目となる今シーズンは、徐々に結果がついてきているが、そこには中央大の伝統的な競技に対する姿勢が見て取れる。弱いチームは全体主義的な練習に取り組んだほうが全体のレベルを早く押し上げられるが、“特別な選手”は育成しにいくい。中央大は、どのような取り組みをしているのだろうか。

――中央大の強化育成は、全体主義的か個別主義か、どちらの方向性でしょうか。

「うちは(1シーズンを)2期に区分けしていまして、箱根駅伝が終わって夏合宿までは個人競技に集中し、夏合宿からは駅伝に完全に切り替えます。6年目までは箱根の予選会があったので、予選会で戦えるチームを作っていくという流れでしたが、今年は全日本も箱根も予選会がなかったので、少しやり方を変えました。個人にカスタマイズしつつ、小グループをたくさん作って練習をこなしていくスタイルに変えました」

――小グループは、いくつ作ったのですか。

「基本的には、インカレに出る1500メートルと3000メートル障害、5000メートルと1万メートル、ハーフ(マラソン)のグループ。この3つのチームは私が担当していて、インカレに出ない選手が5000メートルと1万メートルでタイムを出したいグループを山本(亮)コーチが見て、そこに新人を入れてまだ力がないけどベースを上げていくというグループをさらに細かく分けて、花田(俊輔)コーチが指導しています。各グループにそれぞれテーマを持ってやっているので、『そっちはどんなことをやっているの?』みたいな切磋琢磨するグループ感を作れている。それが今のうちの良いところかなと思っています」

――グループ長みたいな選手は置いているのですか?

「そういうのは特にありません。各グループに特徴があって、例えば吉居大和(3年)のグループはいい起爆剤として利用させてもらっています。新人たちに吉居の練習に半分でもつけたら『凄い』と言ってチャレンジさせているんですが、そこでやれれば自信がつくんです。たぶん、駒澤大の田澤(廉/4年)くん、順大の三浦(龍司/3年)くんは、そういう存在なんじゃないかなと思いますね。私は吉居のグループにチャレンジする人数を増やしていかないと、本当に優勝を狙えるチームにはならないと思っています。今は6名なので、10名ぐらいに増やしたいですね」

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藤原 正和

中央大 陸上競技部 駅伝監督 
1981年生まれ、兵庫県出身。現役時代は中央大の中心選手として箱根駅伝などで活躍。2001年ユニバーシアード北京大会の男子ハーフマラソンで金メダルを獲得した。03年のびわ湖毎日マラソンでは日本人トップの3位入賞、2時間08分12秒のタイムは初マラソン日本最高記録とマラソン日本学生最高記録となっている。卒業後はホンダに入社。世界陸上の男子マラソンに2度出場するなどの実績を残し、16年に現役を引退すると中央大の駅伝監督に就任した。同年の箱根駅伝出場を逃すなど苦しい時も過ごしたが、着実にチームを強化。今年度は3大駅伝にフル参戦し、出雲駅伝3位、全日本大学駅伝7位の成績を引っ提げて箱根路に挑む。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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