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箱根駅伝「優勝が使命」 前回2位の順天堂大監督、青学との“11分差”逆転の青写真

選手1人ひとりの才能を見抜き、個を伸ばしていく陸上指導者の、独自の育成理論やトレーニング法に迫るインタビュー連載。順天堂大学陸上競技部を率いる長門俊介監督は、自身が2007年大会の同校優勝メンバーだったこともあり、箱根駅伝への想いが人一倍強い。監督として22年大会で2位に導いたなか、来るべき駅伝シーズンへ向けてどんなプランを練っているのだろうか。(取材・文=佐藤 俊)

2022年の箱根駅伝で総合2位となった順天堂大学、15年ぶりにトップ3に入った【写真:アフロ】
2022年の箱根駅伝で総合2位となった順天堂大学、15年ぶりにトップ3に入った【写真:アフロ】

連載「陸上指導者の哲学」、順天堂大学陸上部・長門俊介監督インタビュー第4回

 選手1人ひとりの才能を見抜き、個を伸ばしていく陸上指導者の、独自の育成理論やトレーニング法に迫るインタビュー連載。順天堂大学陸上競技部を率いる長門俊介監督は、自身が2007年大会の同校優勝メンバーだったこともあり、箱根駅伝への想いが人一倍強い。監督として22年大会で2位に導いたなか、来るべき駅伝シーズンへ向けてどんなプランを練っているのだろうか。(取材・文=佐藤 俊)

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 順天堂大学の指導は、個を重視するスタイルを継承しており、そのなかから松枝博輝(現・富士通)、塩尻和也(現・富士通)、三浦龍司(3年)ら個性的でかつ日本を代表する選手を輩出してきた。それを可能にしているのは、高校時代、彼らの能力を見抜き、スカウティングする力だろう。各大学が優れた選手を取り合う乱世のような今、箱根駅伝の強豪校や新興大学のなかには、スカウト活動に重点を置くコーチがいるところが増えている。

「スカウト活動に関しては、ほぼ僕が動いています。(大会が重なるような時はコーチたちと分担しますが)実際にレースなどを見て、直接会って話をしたいからです。その時のフィーリングを大切にします」

 スカウティングについては、特に決まりごとはないという。ロード向き、長い距離タイプ、スピード系などいろんなタイプがいるが、駅伝だからロードタイプに偏るのではなく、いろんな選手をバランス良くスカウティングするようにしている。

「面談では将来の話や取り組みたい種目など基本的なことから聞いています。そのなかでの受け答えなどはチェックしています。特に僕が大事にしているのは、選手のジョグですね。レースやポイント練習の時は、みんないい走りをしています。でも、僕は毎日のジョグにこそ選手の素が出ると思いますし、ジョグはランニングの基本です。それを手抜きなしにちゃんとできているかどうかというのは気をつけて見ています。あとは、集合時の様子なども気になりますね。学力については、スポーツ推薦であっても、やはりある程度の学力は必要と考えています。ただ一番大切なことは、学びについても一生懸命取り組んでくれるかどうかだと思います」

 長門監督は、机上の勉強が多少できなくとも、競技する上で『考える力』があれば問題ないという考えだ。競技と向き合い、自分で考えられない選手は、伸びていかないからだ。また、性格については、直接会って判断しているところもあるので、現在の順天堂大の方針に合っている選手が集まってくれている。

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長門 俊介

順天堂大学 陸上競技部 駅伝監督 
1984年生まれ、長崎県出身。諫早高校から順天堂大学に進学し、箱根駅伝は4年連続で9区を走った。卒業後はJR東日本に進み、2011年に順天堂大学陸上競技部のコーチ、16年に駅伝監督に就任した。3000メートル障害で塩尻和也、三浦龍司と2人のオリンピアンを輩出、22年の箱根駅伝では総合2位となりチームを15年ぶりのトップ3に導いた。

佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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