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利き足を「自分の武器」と言えるか J監督の“異次元のボールタッチ”が与えたヒント

川崎フロンターレに技術的な改革をもたらしたのは、前監督の風間八宏(名古屋グランパス監督)だった。 茨城県つくば市で生まれ育った高崎康嗣は、筑波大時代の風間のボールタッチを見て驚愕したという。そんな風間が川崎のアカデミーで手本を見せると、ユースの選手たちも同じように目を丸くした。

風間八宏氏【写真:Getty Images】
風間八宏氏【写真:Getty Images】

【元川崎U-12監督が追求する日本サッカー“異端の指導法”|第3回】風間監督によって磨かれた川崎選手の技術

 川崎フロンターレに技術的な改革をもたらしたのは、前監督の風間八宏(名古屋グランパス監督)だった。

 茨城県つくば市で生まれ育った高崎康嗣は、筑波大時代の風間のボールタッチを見て驚愕したという。そんな風間が川崎のアカデミーで手本を見せると、ユースの選手たちも同じように目を丸くした。

「異次元ですね」「メチャ上手い」

 あちこちからそんな声が漏れた。

 高崎は言う。

「風間さんが全然違う触り方をしている。それが見える選手は上手くなる。でもただ『凄え!』で終わっていると上手くなりません。真似が上手い選手は、そこに近づいていく。サッカーはそういうスポーツです」

 風間が来て、川崎の選手たちが上手くなった。

「何よりブラジル人選手が上達しました。レナト(天津天海/中国)なんか、川崎で磨かれて売れちゃいましたからね。『ここへ来て上手くなる外国人は要らないんだけど』と冗談を言い合っていましたけど、彼らはもともと持っていたものが自然に表現できるようになっただけなんでしょうね」

 風間は、よく「ファイティングポーズを取れ」という表現を使っていた。

「要するに、すぐに蹴れる動作になっているということです。風間さんは『ミスさえしなければ、どこにボールを置いてもいいよ』と言っていました。ただ『俺の場合は、利き足の前だけどね』と」

 プロになるには武器を持つ必要がある。そして武器の精度が落ちれば勝負はできない。局面ごとに右に左に武器を切り替える「器用」な選手が通用するような甘い世界ではないという結論に行きつくのも道理だ。

 高崎は川崎U-12の選手たちを前に、従来の「左右差がなく」から「利き足重点」へと指導方針の変更を告げると、こう付け加えた。

「ごめん、武器だから。みんなの武器を伸ばさなきゃいけないから」

 この一言で選手たちは得心した様子だった。それから高崎は選手たちに声をかけるタイミングに気を配った。

「選手たちも自分自身の変化には気づきます。そこで今、この子はこう考えているんだろうな、ということを話します。『どう、外れてる?』って。そのタイミングは逃さないようにしました。普段口うるさいオヤジが『ここが良くなったね』と声をかける。4年連続して世界大会にも出ている結果も説得材料になり、信頼してくれるようになったと思います」

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近東京五輪からプラチナ世代まで約半世紀の歴史群像劇49編を収めた『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』(カンゼン)を上梓。『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(ともにカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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