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「やればやるほど上手くなる」に根拠なし 伊のサッカー指導と日本の部活に見る明確な差

イタリアサッカー連盟は、5~16歳の少年たちについての規約を明文化している。ACミランアカデミー千葉佐倉でテクニカル・ディレクターを務めるルカ・モネーゼが解説する。

イタリア連盟には逸脱した行動を取る指導者がいれば、資格を剥奪する強制力もあるとモネーズ氏は解説する【写真:Getty Images】
イタリア連盟には逸脱した行動を取る指導者がいれば、資格を剥奪する強制力もあるとモネーズ氏は解説する【写真:Getty Images】

【“知日家”イタリア人指導者の育成論|第2回】イタリア連盟が5~16歳の指導方法を明文化

 イタリアサッカー連盟は、5~16歳の少年たちについての規約を明文化している。

 ACミランアカデミー千葉佐倉でテクニカル・ディレクターを務めるルカ・モネーゼが解説する。

「規約は国連から通達された内容に即したもので、イタリア連盟には逸脱した行動を取る指導者がいれば、資格を剥奪する強制力もあります」

 概要は次の通りだ。

●子供たちは、スポーツを楽しむ権利を有する
●子供たちは、それぞれのリズムに即したトレーニングを行わなければならない
●子供たちは、適切な休息をとる権利を有する
●サッカーは創造力を活かすもので、トレーニングには様々なバリエーションの内容が提案されるべき(常に同じ内容のトレーニングを繰り返すべきではない)

 そのうえで各年代の試合の方法、1回の練習時間の上限、年間の試合数の上限、試合時間、オフの確保、選手の人数に対する指導者の数などが明確に定められている。5~6歳なら3対3、12歳になると9対9になり、ピッチの大きさも、子供たちの発育に即して負荷に耐えられる設定になっている。

「イタリアでは国が五輪連盟に全スポーツの権限を与え、さらに五輪連盟が各競技の連盟にすべてを託しています。従ってイタリア連盟が決定したことに、傘下の団体が反対することはありえません。例えば、バルセロナがイタリア国内でキャンプをしたいと希望したとします。この場合、バルセロナは連盟に具体的な活動内容を示して認めてもらわなければ、キャンプを実現できません。そういう意味で正しい力を持っていると言えます」

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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