[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

今の子どもの指導に悩む大人へ ストリートスポーツ界のカリスマは「一切教えません」

自身の指導スタイルについて語る内野洋平【写真:松橋晶子】
自身の指導スタイルについて語る内野洋平【写真:松橋晶子】

子どもには考えさせるアプローチを―「すぐに答えは教えない」

 この意見には内野も100%賛同する。子どもの好奇心を膨らませるためにも、大人は子どもに寄り添い、ともに歩むスタイルがいいのではないかという。

「親に限らず大人が子どもに教える時は『俺は答えを分かっている』っていうアプローチではなくて、一緒に謎を解いていく感じがいいんじゃないかと思います。BMXだったら映像を見ながら『この技はこうなってるんじゃない?』『どう思う?』『もしかしたらいけるかもね』と、友達のようなスタンスでいくとか。僕は息子が『できないんだけど』って来た時は『できないのが普通なんだよ』って伝えます。それでも、すぐに答えは教えない。映像を見ながら、どうしようかって一緒に考えます」

 できないこと、失敗することは決して恥ずかしいことではない。ストリートスポーツでは「ナンバーワン」である以上に「オンリーワン」であることが高く評価される。内野は言う。

「僕らの業界ってスピード勝負ではないので、クリエイティブさが最も重要。特に、僕の競技(フラットランド)はそうですね。僕から言われた技だけやっていたら、クリエイティブさは培われないし、僕を超えた時に新しい技が生み出せなくなってしまう。スケートもそうですけど、誰もやっていない技を生み出せる人間と生み出せない人間、真似しかできないのか、新しいものを作れるか、これは大きな違いです。急にはできないので、小さい頃からクリエイティブさを養うためにも、自分で考えることは大切ですよね」

新しいオリジナルの技が決まったら「みんな大喜びする」 内野はストリートスポーツの良さを話した【写真:荒川祐史】
新しいオリジナルの技が決まったら「みんな大喜びする」 内野はストリートスポーツの良さを話した【写真:荒川祐史】

 BMXでもスケートボードでも、大会で新しいオリジナルの技を決めた選手がいれば、観客はもちろん対戦相手も含め、その場にいる全員が自分のことのように成功を大喜びする。こういった光景は他競技で見ることは珍しい。なぜストリートスポーツでは他人の成功をみんなで喜びあうのか。内野は全競技者の気持ちをこう代弁する。

「新しい技が生まれた瞬間に立ち会えたことが、一競技者としてうれしいんですよ。だから、みんな大喜びする。人間味ありますよね(笑)。素直に喜べることを、僕はすごいことだと思っています。こういう気持ちは子どもの頃に経験してほしいですよね」

 失敗は当たり前。大切なのは個性。周囲へのリスペクト。日本では、ややもすると偏見をもたれがちのストリートスポーツだが、その土台となる部分には他のスポーツや大人たちが学ぶべき要素が多く詰まっているのかもしれない。

(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)

1 2 3
W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
UNIVAS
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集