なぜ、部活の走り込みは嫌われるのか 「走って根性を鍛えろ」の教えは正しいか
日本の部活動の在り方を考える「THE ANSWER」の連載「ニッポン部活考論」。今回のテーマは「なぜ、部活で走り込みは嫌われるのか」。あらゆる部活に共通する体力強化法でありながら、選手にとっては敬遠されてしまう練習の是非について、陸上のアテネ五輪1600メートルリレー4位の伊藤友広氏と元200メートル障害アジア最高記録保持者の秋本真吾氏に聞いた。
連載「ニッポン部活考論」―元陸上トップ選手が語る「走り込み」の是非
日本の部活動の在り方を考える「THE ANSWER」の連載「ニッポン部活考論」。今回のテーマは「なぜ、部活で走り込みは嫌われるのか」。あらゆる部活に共通する体力強化法でありながら、選手にとっては敬遠されてしまう練習の是非について、陸上のアテネ五輪1600メートルリレー4位の伊藤友広氏と元200メートル障害アジア最高記録保持者の秋本真吾氏に聞いた。
スプリント指導のプロ組織「0.01」を主催する2人。伊藤氏は小学生世代のかけっこ指導を全国で展開し、秋本氏はプロ野球選手、サッカー日本代表選手など、トップアスリートの走りの指導を手掛ける。プロスプリントコーチとして、陸上界で脚光を浴びている「走りの専門家」から見た「部活の走り込み」の問題点とは――。
【特集】「走り」で人は変われる 子どもが運動会でヒーロー・ヒロインになる方法 / 陸上 伊藤友広さん、秋本真吾さん(GROWINGへ)
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野球、サッカー、バスケットボール……。屋外、屋内競技を問わず、日本の部活の練習に定着している「走り込み」。夏も、冬も、ヘトヘトになるまで体を追い込む。経験者なら誰しも、ひたすらにつらく、苦しく、忌まわしい記憶として脳裏に焼き付いているだろう。なぜ、部活において走り込みは嫌われるのか。
中学時代はバスケットボール部に所属し、「体育館の周りをめちゃくちゃ走りました」という秋本氏は「『走りがつらい』という考え自体が問題だと思っています」と話し、陸上選手として率直な思いを明かす。
秋本「走りは全身運動なので、当然、運動時間が長くなれば負荷が高まり、肉体的につらくはなります。でも、陸上選手は良い感覚を掴めば、走ることが楽しいし、疲れも感じにくいものなんです。それでも、同じスポーツをしている人に『つらい』と思われてしまう。指導者が走り込みをやると言うと選手は『えー』と落ち込み、じゃんけんに勝てば1本減らすなんて言ったら『わー』と喜ぶ。『走り=罰則』みたいな感じですよね。こちらは楽しいと思ってやっているのに、なんでなんだろうと思っていました」