部活は「学び」と「楽しむ」どちらが先か 教育主義の日本とバスケ欧州名門の違い
部活一択の日本、スペインは目的別に選択「その人に合わせてチームを選ぶ」
楽しみ抜くからこそ一生懸命になり、得るものがある。受動的に練習するよりも、濃く意味のある時間になるのだろう。楽しんだ結果として、後から人間関係や社会性などの「学び」が付いてくるのが、スペインの名門クラブでジュニア年代の選手を見てきた同氏の考え方だ。
サッカーなど中学、高校生の年代でもクラブチームの数が多い競技は別だが、中高生が日本でスポーツをする場合、ほとんどの競技で教育的側面の強い部活動に属する必要がある。野球でプロを目指すなら、必ずと言っていいほど高校野球を通らなければならない。場合によっては、部活動への所属を決まりとする学校もあるほど、部活動には教育的側面が付いてまわる。
レアル・マドリード財団は、サッカーだけでなくバスケットボールでも世界中で教室を開催している。子供の遊び心を大きく引き出す方法論を使い、彼らにトレーニングの価値を伝えることに重点を置く。上を目指す中高生選手にも、自分の課題について「考えさせる」ことを大事にするという。選手の意思を尊重し、あくまで“自分がやりたい”からそれぞれの競技に取り組むようだ。
さらに選手にとって競技に打ち込む環境の選択肢が多いという。「プレーヤーのレベルや、バスケットをする目的によります。クラブチームでもっとスキルを身につけるためにやるのか、教育にフォーカスしてバスケットをやるのか、その人に合わせてチームを選んでいる」とジージャ氏。勝つためではなく、レベルや目的に合わせられるようにチーム数が存在し、それぞれが選べる体制にあるそうだ。
日本では2016年9月にBリーグが開幕し、各チームがU15、U18などユースチームを持つようになった。だが、歴史は浅く、サッカーのようにユースからプロ入りした選手がいるわけではない。ユースと高校の二重登録を認めるチームと、そうでないチームもあり、現状では高校の部活動の方が大会規模も大きいが、将来的にはサッカーの高円宮杯のような高校とユースの壁の無い全国大会も計画されていると聞く。