無失点優勝に貢献した2年生の成長

　大会を通じて成長した選手として、長尾監督が度々名前を挙げたのは高校からホッケーを始めた2年生だ。「佐曽利（涼椛）は大会前にはメンバーから外すか迷うくらいだったんですが、彼女といろいろな話をしながら、最後は『あなたに賭ける』と。彼女がそれを意気に感じて、それに応えられるだけの精神力を持っていてくれたってことですよね」

　相手FWをマンツーマンでマークする役割を担った佐曽利は、中学まで野球をやっていた。高校では「軽く運動ができる部活に入ろう」と考えていたが、キャプテンの山藏に毎日熱心に誘われ、日本一の練習量を誇るホッケー部への入部を決めた。

「いつも迷惑をかけているから、少しでも迷惑をかけないようにと必死にやりました。緊張していましたが、（初戦で）長尾先生に『いいぞ』と褒められてから、自信を持ってプレーできるようになりました」

　3回戦の丹生戦では標的にされたが、「全くボールを持つことができない」中でも、丹生のキャプテン宮永萌絵に激しく食らいつき、完封勝利に貢献。「今までは相手にかわされて失点につながってしまっていたところを、サークルの外で止められた」と自信を深めた。

　守備の要であるスイーパーの山藏は、隣で体を張る後輩の成長を肌で感じていた。

「最初はすごい緊張しているなと思ったんですけど、『自信を持っていけ』って言ったら、前にバーンと飛び出して、体を張って止めてくれた。カバーにも入ってくれて、失点しないということにこだわりを持ってやってくれた。1点くらいいいやと思わず、自分たち（3年生）が目標としていた無失点を一緒になって達成しようとしてくれました」

　経験豊富な3年生がひっぱり、2年生が必死に追随した。岐阜各務野はインターハイを通じて、ひと回り大きなチームになった。