残り10秒&4点リードでなぜ日本はファウルを犯した? 大金星スルリ「結果論なら必要ないが…」選手特有の心理【渡邉拓馬の目】
五輪でしか得られない経験があるとすれば、それを得たのがこのフランス戦
結果として3Pシュートを狙いましたが、マッチアップしていたニコラ・バトゥーム選手は絶妙な距離で対応していました。ドライブを許さない距離感を保ちつつ、残り時間が少なくなってきてシュートを打つ確率が高くなってきたことも頭の中に入っていたのでしょう。河村選手にとっては自分より身長が30cm以上も高い203cmの選手がブロックに飛んでいたわけですから、間違いなく大きなプレッシャーです。
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できればオーバータイムに突入することなく勝ち切りたかった試合。第4クォーターの残り8分31秒の時点で八村塁選手が退場になってしまったのは大きな痛手だったからです。八村選手はダブルチームされても落ち着いていて、フィジカル的にも互角以上に渡り合っていました。さすがNBA選手というパフォーマンスだっただけに、勝負どころで彼を失ったのは痛かった。
1回目のアンライクスポーツマンファウルは厳しい判定だったかなと思います。2回目は手を出してしまっているので、見栄えが悪い。ファウルを取られても仕方ないかもしれません。このあたりは国際試合経験の少なさと気持ちを前面に押し出すという個性が裏目に出てしまったと思うので、本人も悔やんでいるはずです。
本当に惜しい試合でした。最後は踏んでいる場数の差が出ましたが、それも紙一重です。この敗戦が今大会の残り試合や、4年後や8年後の五輪に向けた血肉となるはず。僕には河村選手や八村選手がコートに立って日本を勝たせるイメージが湧いたので、ものすごく学びの多い試合でもありました。
五輪でしか得られない経験があるとすれば、それを得たのがこのフランス戦でしょう。初戦のドイツ戦よりも間違いなく内容は向上しているので、次戦に向けては期待しかありません。ブラジル戦にはブラジル戦の戦い方がありますし、きっと最高のドラマが待っているはず。負けた後の選手たちの面構えがそれを予感させてくれました。
(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)