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現役中に子宮内膜症「復帰できても競技は…」 選手として室伏由佳が悩んだ手術の決断

現役アスリート・学生へ、自身の経験から訴える婦人科の受診

 室伏さんは現役時代、月経前の不調や月経随伴症状に苦しみ、「避けられないもの」と、どこかで諦めながら競技を続けてきた、と振り返る。その経験から、「現役のアスリートや学生たちには、歯科医で定期検診を受けるような感覚で、婦人科系も気軽に、そして身近に感じて受診してほしい」と切実に訴える。

「例えば、『先月と今月、何か違うな』とちょっとでも変化を感じたら、その変化は、どんどん悪くなっているのかどうかを必ず観察をしてほしい。そして、一定のとこで変化が止まったとしても、『あぁ、治まってよかった』で終わらせないことが、とても大切です。

 やっぱり痛みって、何かのサイン。後回しにすると、本当に取り返しのつかないことが待っている恐れがあります。人間は決して若返ることはないですし、老いや病気は誰にでも待っています。

 恐さに訴えて啓発するのは、本意ではないのですが、時間が経てば元通りになるだろうとか、いざというときは誰かが何とかしてくれるという考えは、改めた方がいい。

 自分は若いから病気になることはないだろう、ではなく、正常な生理があったとしても生理を重ねれば器質性月経困難症に発展するリスクが必ずある、と自覚をする。それで、何もなければなかったよかった、で済む話ですから、変化には過敏になってもいいと思うんです。

 体のなかで起きていることは、自分で判断できません。変化を感じたら、自分で判断したり、家族や友人の知っている情報を持ち寄ったりするだけでなく、率先して病院に行ってほしい。

 婦人科医を訪ねることは、決して恥ずかしいことではなく、将来の幸せな道に通じる選択であると知ってほしい。自分の体のことは、自分で守るしかありませんから」

■室伏 由佳 / Yuka Murohushi

 1977年生まれ。スポーツ健康科学博士。陸上競技女子ハンマー投げの日本記録保持者(2022年10月月現在)。女子円盤投げの元日本記録保持者2004年アテネオリンピック女子ハンマー投げ日本代表。中学から陸上を始め、高校に進学時に円盤投げに転向。ミズノ株式会社に入社し、社会人選手となった1999年よりハンマー投げの大会にも出場し始め、2005年にハンマー投げ、2007年には円盤投げと二つの投擲種目で世界選手権出場を果たした。2012年に競技を引退。現在、順天堂大学スポーツ健康科学部/大学院スポーツ健康科学研究科 准教授を務める。研究領域は、アンチ・ドーピング教育、スポーツ心理学を中心に教育研究をおこなうとともに、スポーツと医学や健康などをテーマに講演や実技指導など幅広く活動している。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)


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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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