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セクハラと思い、女子選手に聞けない“生理”に学びの場 男性も「積極的介入を」

会場の学生アスリートのうち4割が男性が占めた
会場の学生アスリートのうち4割が男性が占めた

男性が聞きづらい生理のこと、北出教授「積極的に学び、介入してもらいたい」

 また、生理に関する不調やトラブルが起きたときに、誰に相談をするのか? という問いには、家族(57.7%)、友人・競技仲間(46.2%)、産婦人科医(14.4%)の順に多く、コーチ・指導者は1%、教員にいたってはゼロという結果となった。

「男性のトレーナーや教員のなかには“セクハラ(セクシャルハラスメント)のような気がして聞けない”と話される方もいる」と北出教授。「しかし、男性の方も体調管理の一つだと思い、積極的に学び、介入してもらいたい。学生さんも全然恥ずかしいことではないので、男の先生にも女の先生にも、是非、相談してほしい。お母さんや友達よりも、もう少し知識のある方がいた方が心強いかと思う」

 一方、シンポジウムが行われた順天堂大の会場では、参加した学生アスリート90人のうち約4割は男子学生が占めた。「男性学生がメイン会場に来ている姿を見て、本当にいい時代になったと思った」と室伏氏。

「会場に来ている男性のなかには、将来、教員や指導になる人もいるだろうし、パートナーとしてなど、(生理と)向き合うときが絶対にある。自分にトラブルがないからいいや、ではなく、自分事、仲間のこと、家族のように思って、持っている情報・知識をもって、相手に助け舟を出せるようになってほしい」とエールを送った。

会場では参加した男子学生も熱心にペンを走らせていた
会場では参加した男子学生も熱心にペンを走らせていた

 参加した順天堂大スポーツ健康科学部3年の木戸悠介さんは、「自分は男性なので生理を経験したことがなく、女性の悩みや問題に共感はできない。だからこそ、医学的な見地で学びを深めておくことが今後につながると考えて参加した。

 僕自身、将来は指導者や教育に携わる仕事に就きたいと考えているので、教員への相談がゼロというアンケート結果には衝撃を受けた。女性の選手が男性の先生・指導者に相談するのはなかなか難しいかもしれないが、今回、参加したことは、0を1にできるような取り組みもあるのではないかと模索するきっかけになった」と話す。

 講演後、有森副会長は「UNIVAS、各大学とも、生理や体の悩みを相談できる窓口を増やすなど、問題にコミットする場をどうやって作っていくかを考えていかなければいけないと感じた。

 生理にまつわる問題は根深いので、学生たちの要望があればまた別の形で開催したい。また、このようなシンポジウムや機会で得た情報は、大学ごとの垣根を超えて共有することが大事。女性アスリートの課題・問題を軸に、大学同士をつなげていきたい」と話した。

 有森氏は大学スポーツの環境整備の支援につなげるため、UNIVAS加盟校の運動部学生と現状や課題などを直接語り合う「大学スポーツありもり会議」を不定期で開催。今シンポジウムはこれまでオンラインでの開催であったため、学生の生の声を直接聞く機会を作りたいという有森氏、室伏氏らが企画し、実現した。

(THE ANSWER編集部)


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