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練習過多、月経不順、疲労骨折… 女子陸上界の課題、39歳まで走った福士加代子の考え

頑張るフリをすることに疲れて「や~めた」

――福士さんには周りに流されない自分の意志の強さを感じます。それは、若い時に何か経験があったのか、もともとそういう思考だったのか。どちらでしょう?

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「今はそうかもしれないですけど、前はチームがこうしているから私もそこに埋まろうって、流れに合わせるタイプでした。チームのことをやっておけばいいかなって。私、結構何でも巻かれるタイプだったので(笑)。でも、徐々に人それぞれ違うことに気付いてきて、別に『右にならえ』じゃなくていいんだ、合わないことって普通なんだなと思って。ちょっと違うかなって(選択を周りから)外してみた時、こっちでも良かったと思えたので。でも、選手も(リアクションを)返さないといけない。

 こうだったよって教えてもらわないと。応答がないと、やっぱり指導者も何も思わず、そのまま続けることがある。『あれ、ちょっとずれてたかな』と気付くのが遅れる。体調に関しても、日々変わるもの。それは指導者が言われたから、どうとかっていう感じじゃない。思い切って『今日は体調が悪いんです』とか『逆に、今日は体調良いので、これやらしてください』とか。自分の身体のことは相手も絶対わからないので、そのくらいコミュニケーションがうまく取れればいいかなと思います」

――例えば、中高生の10代の選手たちは強くなりたい想いと同時に、発育過程にあり身体も大切にもしなければいけない時期。福士さんから健康を守りながら、同時に強くなることについてアドバイスはありますか?

「早寝早起きしていたら大丈夫じゃないですか?(笑)。若いうちはそんな気がします」

――福士さんの中高生時代は練習の負荷を含め、健康状態はどうでしたか?

「ぜんっぜん! 自分の身体が悪いとも、なんとも思ってなかったですね。練習も全く追い込まれてないんです。ノビノビすぎちゃって。(高校を卒業して)ワコールに来てから、ちゃんとした感じです。3食ちゃんと食べて、運動してみたいな。なんて、健康的な生活!」

――実業団に入って以降も、コンディショニングの面で特に気を付けていたことはないですか?

「特にないです。普通に、簡単にできること。しっかり3食を取るとか、早寝早起きをするとか。いたって普通の生活。やっぱり、頑張らないことじゃないですかね」

――アスリートにとって「頑張らないこと」はとてつもなく難しいと思うのですが、福士さんはなぜ頑張らないことができたのでしょう?

「だって、頑張れないもん(笑)。そもそも頑張れないのに頑張っているフリをするのが疲れる。なので、や~めたと思った時はだいぶ楽になりましたね」

――頑張るフリをやめられたのはいつくらいでしょう?

「アテネ五輪かな? 五輪を1、2回経験したくらいですかね。出るたびにちょっとずつ頑張らないようにしていた気はします。最初は『会社のために』『オリンピックのために』って、めちゃめちゃ頑張っていましたよ。でも、徐々に鎧が取れていった感じです(笑)。そうなった方がやっぱり楽だったので」

――最終的には何のために行きついたんでしょう?

「自分の『好き』のために、です。自分が良いようにしか考えてなかったです。最後は健康のためにしか考えてないかも(笑)。ああ疲れた、でもこれは健康のために、息を上げずに、リラックスして走ろう! みたいな。その中でも練習で激しいトレーニングができたりもしたので、精神的に追い込まれない方が意外とできることもあるんだっていうことも感じながら」

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