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生理前と試合が重なった五輪 伊調馨が語った「月経と体調管理」に女子選手が学べること

スポーツを習い始めたばかりの小学生、部活に打ち込む中高生、それぞれの高みを目指して競技を続ける大学生やトップカテゴリーの選手。すべての女子選手たちへ届ける「THE ANSWER」の連載「女性アスリートのカラダの学校」。小学生からオリンピアンまで指導する須永美歌子先生が、体やコンディショニングに関する疑問や悩みに答えます。第21回は「女性スポーツフォーラム2021回顧」。

4大会連続で五輪金メダルを獲得した伊調馨【写真:Getty Images】
4大会連続で五輪金メダルを獲得した伊調馨【写真:Getty Images】

連載「女性アスリートのカラダの学校」第21回―「女性スポーツフォーラム2021回顧」

 スポーツを習い始めたばかりの小学生、部活に打ち込む中高生、それぞれの高みを目指して競技を続ける大学生やトップカテゴリーの選手。すべての女子選手たちへ届ける「THE ANSWER」の連載「女性アスリートのカラダの学校」。小学生からオリンピアンまで指導する須永美歌子先生が、体やコンディショニングに関する疑問や悩みに答えます。第21回は「女性スポーツフォーラム2021回顧」。

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 去る2月6日、私が教鞭をとる日本体育大学主催のオンラインイベント「女性スポーツフォーラム2021」を開催しました。プログラムの一つは「金メダリストに学ぶ! アスリートとコーチが知っておきたい女性アスリートのコンディショニング」。ゲストに4大会連続(アテネ、北京、ロンドン、リオデジャネイロ)で五輪金メダルを獲得した、女子レスリングの伊調馨さん(ALSOK)を招き、お話しを伺いました。

 私との対談の内容は「月経」と「体重管理」が中心。世界を舞台に長年、戦ってきた経験に裏付けられたお話は、部活動や実業団などで競技に取り組む現役女性アスリートたちにとって、非常に学びの多い内容でした。そこで、今回、次回と2回にわたり、伊調さんのコメントを振り返りながら、月経、そしてコンディショニングについてお話していていきたいと思います。

 月経周期が体に及ぼす影響は個人差があり、コンディションの波が激しい人もいればまったく変化のない人もいます。

「月経直前から1日目、2日目にかけては、体が重い、ちょっとだるい、キレがない、という自覚症状が少しあった」という伊調選手。ほか、月経前に「2kgくらいの体重増加」「食欲が旺盛になる」「のどが渇きやすく水分を大量に飲む」という症状があったそうです。

 女性ホルモンの働きの一つとして、体に水分を貯めるというのがあります。また、食欲の調整ホルモンにも関連するという論文もあり、伊調選手と同じような症状を覚える方も少なくないと思います。

 月経前は女性ホルモンの分泌が急激に上がり、急激に下がることで、様々な影響を体に与えます。しかも影響は子宮や卵巣だけでなく、筋肉や神経細胞にも作用。肉体的な症状だけでなく、イライラや落ち込みなど、精神的な不調が出る場合もあります。

 症状の種類や重さは個人差が非常に大きいのですが、私が伊調選手の話を聞いていてハッとしたのは、調子が悪いときの捉え方です。多くの方は調子が悪いことにとらわれ、気にしすぎるきらいがありますが、「調子が下がっているのだから、あとは上がる一方」というのが彼女の捉え方。「生理中、体調はどんどん変わる。3日目以降は悪かった分、調子が上がっていく気がして、むしろ『いつもより調子がいい』と思えた」とのこと。そのポジティブな思考に感心しました。

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須永 美歌子

日本体育大学教授、博士(医学)。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本陸上競技連盟科学委員、日本体力医学会理事。運動時生理反応の男女差や月経周期の影響を考慮し、女性のための効率的なコンディショニング法やトレーニングプログラムの開発を目指し研究に取り組む。大学・大学院で教鞭を執るほか、専門の運動生理学、トレーニング科学の見地から、女性トップアスリートやコーチを指導。著書に『女性アスリートの教科書』(主婦の友社)、『1から学ぶスポーツ生理学』(ナップ)

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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