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「無月経」に残る危ない知識 「私は赤ちゃんできたから」と選手に言った部の顧問

スポーツを習い始めたばかりの小学生、部活に打ち込む中高生、それぞれの高みを目指して競技を続ける大学生やトップカテゴリーの選手。すべての女子選手たちへ届ける「THE ANSWER」の連載「女性アスリートのカラダの学校」。小学生からオリンピアンまで指導する須永美歌子先生が、体やコンディショニングに関する疑問や悩みに答えます。第6回は「無月経の放置が体に及ぼす影響」について。

第6回は「無月経の放置が体に及ぼす影響」について
第6回は「無月経の放置が体に及ぼす影響」について

連載「女性アスリートのカラダの学校」第6回―無月経の放置が体に及ぼす影響

 スポーツを習い始めたばかりの小学生、部活に打ち込む中高生、それぞれの高みを目指して競技を続ける大学生やトップカテゴリーの選手。すべての女子選手たちへ届ける「THE ANSWER」の連載「女性アスリートのカラダの学校」。小学生からオリンピアンまで指導する須永美歌子先生が、体やコンディショニングに関する疑問や悩みに答えます。第6回は「無月経の放置が体に及ぼす影響」について。

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 数年前、北海道で学生の女性アスリートに向けて講演を行った時のことです。終了後、陸上競技をしている一人の大学生に声を掛けられました。

「高校生の時、生理がなかった」という彼女は、当時、高校の陸上部の顧問に相談。すると「大丈夫でしょ。私も生理なかったけれど、ちゃんと赤ちゃんできたから」と一蹴されたそうです。今は生理が来ているそうですが、「先生の一言で高校時代は何も対策をとらなかった」と話していました。

 女性アスリートの場合、一般女性に比べて無月経の割合が高い上、「生理なんてない方がラク」と考える選手もいます。しかし、選手を監督する立場であり、女性である指導者にも、いまだにこのように考える人はいるのだと知り、とてもショックを受けました。

 当然のことですが健康でなければ、「強いアスリート」にはなれません。しかし、無月経であることは「健康な状態」ではない。ですから競技力向上という面でも、無月経の影響は軽視できないのです。

無月経は利用可能エネルギー不足のサインであり、「生殖機能」の危機を知らせるアラート!【デザイン:野口佳大】

 実際、無月経の選手はトレーニング効果が出にくいという研究があります。

 カナダの研究グループは15~17歳の国際レベルの水泳選手に対して、12週間の合宿トレーニング前後に様々な測定を行いました。その結果、合宿後のパフォーマンス(泳速度)は、正常な月経のある選手は向上し、月経異常のある選手は低下しました(正常に月経のある選手の群は8.2%向上。月経異常のある選手の群は9.2%低下)。トレーニングボリュームに比例して高まるはずの心肺機能や筋力が伸びない背景には、慢性的なエネルギー不足があるのではないか、と考えられています。

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須永 美歌子

日本体育大学教授、博士(医学)。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本陸上競技連盟科学委員、日本体力医学会理事。運動時生理反応の男女差や月経周期の影響を考慮し、女性のための効率的なコンディショニング法やトレーニングプログラムの開発を目指し研究に取り組む。大学・大学院で教鞭を執るほか、専門の運動生理学、トレーニング科学の見地から、女性トップアスリートやコーチを指導。著書に『女性アスリートの教科書』(主婦の友社)、『1から学ぶスポーツ生理学』(ナップ)

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビューや健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌などで編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(共に中野ジェームズ修一著、サンマーク出版)、『つけたいところに最速で筋肉をつける技術』(岡田隆著、サンマーク出版)、『カチコチ体が10秒でみるみるやわらかくなるストレッチ』(永井峻著、高橋書店)など。

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