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なんで体幹トレって重要なの? アスリートもダイエット民も、理解すべき人体の構造

岡田氏は四肢を持たずに体幹のみの「ヘビ」が最強の体幹の持ち主だという【写真:荒川祐史】
岡田氏は四肢を持たずに体幹のみの「ヘビ」が最強の体幹の持ち主だという【写真:荒川祐史】

四肢を持たずに体幹のみ「ヘビ」こそが最強の体幹

 そもそもあらゆる生物は、体幹をうまく使って生きています。私たちと関係性が深い脊椎動物の魚類、両生類、爬虫類は主に体幹の側屈(左右にうねる)、哺乳類は屈曲伸展(前後ろにうねる)させて前進します(いずれも例外はあります)。私たちとは関係性が遠くなるミミズのような無脊椎生物でさえ、体幹を使って前に進みます。脊椎動物は5億年の歴史のなかで、ずっと体幹を使って前に進んでいるわけです。

 ヘビにいたっては四肢を持たずに、体幹のみという進化を遂げていますからね。脊椎の骨の数を増やし、体幹を長くして、まさにムチのようなしなやかな動きを実現している。しかも陸を這い、水中を泳ぎ、木まで登る。最強の体幹です。

 生物の進化を辿ると、本来、体幹には前に進むための運動機能が求められていた。しかも、多数の背骨がうねるように動く、とてもよく動く部位だったことがわかります。しかし、二足歩行になった人間は、体幹が使われにくくなってしまった。生物の歴史からみれば、ホモ・サピエンスが出現してからの時間なんてほぼ「点」ですからね。体の使い方と体の構造がマッチしていない状態であり、まだ対応しきれていないのでしょう。

 魚は非常になめらかに背骨を使いこなして泳ぎ続けなければ生きていけません。人間の場合は脊椎の骨の数はまだたくさんあるのに、脚が移動機能のメインになり、健康的に生きるためには歩く要である下半身を鍛えましょう、となる。背骨は魚と似たような構造を持っているのに体幹を十分に使う場面が減っているのですから、理に適ってないんですね。だから、私たちの体は不具合を起こし、首や腰は痛くなるし、動かさないから腹に脂肪がたまる。実際に腰痛の方を調べると、背骨をうねらせる筋肉が小さくなっているという報告もあります。

 ということで、すべての人にとって体幹トレーニングが大切であり、体幹を強く使うトレーニング、しなやかに使うトレーニングの両方が必要だと思います。骨が24個もあるのに使わないのは、ヘビのような最強のムチになることを諦めるということであり、動きを加速できないことでもある。それはとても、もったいないことですからね!

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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岡田 隆

1980年、愛知県生まれ。日体大准教授、柔道全日本男子チーム体力強化部門長、理学療法士。16年リオデジャネイロ五輪では、柔道7階級のメダル制覇に貢献。大学で教鞭を執りつつ、骨格筋評論家として「バズーカ岡田」の異名でテレビ、雑誌などメディアでも活躍。トレーニング科学からボディメーク、健康、ダイエットなど幅広いテーマで情報を発信する。また、現役ボディビルダーでもあり、2016年に日本社会人ボディビル選手権大会で優勝。「つけたいところに最速で筋肉をつける技術」「HIIT 体脂肪が落ちる最強トレーニング」(ともにサンマーク出版)他、著書多数。バズーカ岡田公式サイトhttps://bazooka-okada.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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