ラスト15分、大谷翔平V弾で一変した敵地の景色 “大合唱”ファンは沈黙&9ウラ待たず帰路に…監督も「とんでもない試合だ」
米大リーグのドジャース・大谷翔平投手は9日(日本時間10日)、敵地ダイヤモンドバックス戦の9回に2戦連発、メジャートップに並ぶ決勝12号3ランを放ち、3点差をひっくり返す逆転劇を演出した。この日は6打数3安打4打点、打率を.304に上げ、14-11の勝利に貢献した。指揮官も思わず「なんてとんでもない試合だ」と漏らすほどの激闘。クライマックスの15分間で球場の景色は一変した。

敵地ダイヤモンドバックス戦
米大リーグのドジャース・大谷翔平投手は9日(日本時間10日)、敵地ダイヤモンドバックス戦の9回に2戦連発、メジャートップに並ぶ決勝12号3ランを放ち、3点差をひっくり返す逆転劇を演出した。この日は6打数3安打4打点、打率を.304に上げ、14-11の勝利に貢献した。指揮官も思わず「なんてとんでもない試合だ」と漏らすほどの激闘。クライマックスの15分間で球場の景色は一変した。
主役の一振りに4万9122人が息を呑んだ。ドジャースが9回に3点ビハインドを追いつき、なおも1死一、二塁の場面。大谷は打った瞬間、バットを放り投げ、両手を大きく広げて本塁打を確信した。特大の決勝3ラン。15分前まで「BEAT LA(ドジャースを倒せ!)」の大合唱で盛り上がっていたダイヤモンドバックスファンは完全に沈黙し、代わりに「LET’S GO DODGERS!!」の大歓声がバックネット裏2階席の記者席まで響いた。
今季初の同地区ライバルとの敵地4連戦。大谷の二塁打で口火を切ったドジャースは幸先よく1点を先制するも、先発・佐々木朗希投手がその裏に2本の本塁打を浴び、1-3と逆転を許した。2回に即座に追いつき、3回には一挙5点の猛攻で8-3と大量リード。しかし、佐々木は4回に1点を返され、5回先頭のマルテを歩かせたところで降板し、この時点で2勝目はお預けとなった。
さらに2番手バンダが2死満塁からグリエルJr.に痛恨のグランドスラムを被弾し、試合は振り出しに。6回には押し出し四球で勝ち越しされ、8回には2本の本塁打で追加点を許した。打倒ドジャースに燃える敵地ファンのボルテージは最高潮に。しかし9回、守護神ギンケルから3連打で同点に追いつくと空気は一転。大谷の一発が“トドメ”となり、結末を見届けずに帰路に就くファンも現れた。
試合後、監督室で取材に応じたドジャースのデーブ・ロバーツ監督は席につくなり、日米メディア15人ほどの記者を迎え入れて「なんてとんでもない試合だ」と本音を漏らした。両軍合わせて26安打、25得点の乱打戦。3時間19分のシーソーゲームで顔には疲労感も浮かんでいた。それでも、大谷が主役の座を奪ったクライマックスにはニンマリ。「ショウがあんな風に感情を見せるところが見られて良かったよ」と相好を崩した。
大谷本人も「そう何回もあるような試合展開ではもちろんない」と総括。「こっちは最初多く点を取って向こうが追いつく展開も熱かったですし。最後にこっちが勝ち越して逆転して抑える展開もまた熱かったので、本当に素晴らしいゲームでした」と興奮気味に汗を拭った。選手、観客が引き揚げたチェイス・フィールドにはさっきまでの熱戦が嘘のように、アリゾナの涼しい夜風が吹いていた。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)