MLB席巻する“魚雷バット”は「長く使われていく」 製造元CEOが指摘する利点「リスクが減る」
米大リーグ・ヤンキースの本塁打量産に一役買い、大きな話題をさらっている“魚雷バット”。バットを製造するマルチ・スポーツの創設者は、米メディアの取材に対し「長く使われていくものになる」とその性能をアピールしている。

開幕3戦15本塁打の乱れ打ちに貢献し話題を呼んでいるが…
米大リーグ・ヤンキースの本塁打量産に一役買い、大きな話題をさらっている“魚雷バット”。バットを製造するマルチ・スポーツの創設者は、米メディアの取材に対し「長く使われていくものになる」とその性能をアピールしている。
同バットが注目されるようになったのは、3月27日(日本時間同28日)からのブルワーズ戦。この3連戦でヤンキースは計15本塁打を乱れ打ち。ゴールドシュミットやボルピ、チザムJr.ら複数の打者は芯の部分だけが明らかに太く、先端に向かって再び細くなるバットを使用している。MLBの規則上問題はないとされている構造。「トルピード(魚雷)バット」と呼ばれ、話題を呼んでいる。
製造元のマルチ・スポーツの創設者で、CEOのカート・エインズワース氏は、MLB専門局「MLBネットワーク」の番組「MLBトゥナイト」のインタビューで「この技術は平均的な打者を偉大な打者にすると思いますか?」と問われると、「それは厳しいと思います。特定のレベルでは今よりはいい打者にはなれるとは思いますが……」と回答した。
続けて「バットのバレル部分を太くするという考え方ではなく、左右に広くヒッティングエリアを設けているので、これを使ってパフォーマンスがよくなる選手は多くなると思います」と説明している。
ジャイアンツやオリオールズでプレーした同氏だが「うちの優れた職人もメジャーリーグのピッチャーでした。野球経験者が開発チームにいることは大きな強みですが、技術者たちがアクセスできるデータが膨大で、慎重に分析を進めています。NASAやMITの人たちとも一緒に仕事をしていますが、たくさんのデータをもらっています」と、データに裏打ちされた技術力であることをアピールした。
開発者も名門マサチューセッツ工科大学(MIT)出身。「(NASAやMITは)あらゆる数字を見ています。回転数やスイングスピード、打球角度。そして、木材を集中させる部分を決めるために、ボールがバットのどの部分によく当たっているかなどを見ています。それによってより成功するチャンスを与えることができます」と解説した。
「バットの先を変えることでファウルで粘れることで、アウトになるリスクが減り、次の投球ではより広いスイートスポットで捉えることができる」という魚雷バット。「このバットは流行というよりは、球界でこれからしばらく使われていくものになると思います」と、エインズワース氏は自社の技術に太鼓判を押していた。
(THE ANSWER編集部)