那須川天心が一夜明け会見、本田会長は成長を評価「想像以上に強くなった。期待以上の素質」

　ボクシングの日本＆東洋太平洋スーパーバンタム級7位・那須川天心（帝拳）が24日、ボクサー転向3戦目から一夜明け、大阪市内のホテルで会見した。前夜は121ポンド（約54.89キロ）契約8回戦でルイス・ロブレス（メキシコ）に3回終了TKO勝ち。相手が3回終了時に棄権を申し出たことで、初のKO勝ちとなった。初の世界ランカー戦で勝利を収め、世界ランク入りは濃厚。帝拳ジムの本田明彦会長は試合数増加へ、“聖地”後楽園ホール開催も視野に入れていることを明かした。

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　初KOから一夜、ダメージのない那須川は「試合に勝る経験値はない。どんどん試合をしたい」と次戦を待ち望んだ。本田会長も取材に対応。「次は10回戦です」と日本タイトルマッチと同等のラウンド数になると説明したが、「ただ、会場がありません。スケジュールが全くわからない」と大型興行開催への苦労を明かした。

「本人はもっと経験を積んでいきたいけど、（周囲の期待もあり）急がないといけないという気持ちもあると思います。早く試合がしたいのは掴んでいるものがあるからでしょう」

　年間3、4試合を想定しているという。過去3戦とも同興行に出場したWBA＆WBC世界ライトフライ級2団体統一王者・寺地拳四朗（BMB）は、前夜の激闘の影響で7月頃に次戦開催の見込み。那須川もそこに組み込む前に3、4月に1試合挟みたいため、「その場合は後楽園ホールしかありません。それも考えています」と説明した。

　那須川の意思を尊重しつつ、配信先との相談で決めていく方針。「（他の試合で）タイトルマッチをつけず、天心だけの興行になる可能性もあります」と語り、年内の海外開催も「可能性としてはなくはないです」とした。

　那須川は試合後のリングで将来はバンタム級（53.5キロ以下）を主戦にすると宣言。前夜はキックボクシング時代を含めて、55キロ以下で戦ったのは初めてだった。本田会長は慎重を期すためにも、次戦はバンタム級か54キロの契約体重も視野に入れているという。「方針はバンタム級です。スーパーバンタム級では小さい。無駄な筋肉が落ちてきた。昨日は食事、水分をある程度摂った状態。（バンタム級が）ベストウェートです」と説明した。

　ボクシングは相手との交渉を経て、試合が決まる競技。国内の大型会場は何年も前からコンサートで埋まることが多く、特にコロナ禍明けは毎回のように会場確保が難しい。さらに外国人観光客の増加などにより、世界戦を組み込む場合の相手陣営のホテル確保も困難。同会長は「異常事態です。そう簡単に興行ができません」と話す。

　3戦目の試合内容については「想像以上に強くなっています。デビュー前に『1年後は日本で負けないと思っている』と言いましたが、それ以上です。期待以上の素質がある」と称賛。「3回まで完璧でした。『3回までは人に聞かず、自分の思う通りやっていい』と伝えていました。4回から『行け』というところで終わってしまった」と振り返った。

　那須川はランカー撃破で世界ランク入りが濃厚。「入ってもいきなり世界はどうかなと思う」と当然ながら早期の世界戦は望まず、「地域タイトルとか、日本一を証明したり、タイミングを見てやりたい。一歩一歩です。子どもの頃からずっとそうやって着実にやってきた。みんなにもそうじゃないと生き残れないよねっていうところを見せたい」と先を見据えた。