「消化不良の90分間」はなぜ起きたか 松井大輔が落胆したコスタリカ戦前半の日本の姿
失点シーンでは「みんなが浮き足立っていた」
たしかに日本は立ち上がりから主導権を握っていた。前半途中から3バックに変更して攻撃に変化を加え、後半開始時には浅野拓磨と伊藤洋輝を投入することで役割を明確にして攻勢を強める。さらに三笘薫、伊東純也というチャンスメーカーを次々とピッチへ送り込む交代策は、あくまでも勝ち点3を狙う采配だった。
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しかし終盤にミス絡みで失点。引き分けに持ち込むことすらできず、イニシアチブを握りながら痛恨の黒星を喫した。
「展開を踏まえると、日本としては手堅く0-0で終わるという選択肢もありましたが、第3戦の相手(格上のスペイン)を考えると2連勝でグループリーグ突破に近づいておきたい。これは自然な考えだと思いますし、だからこそ中途半端になってしまった前半のパフォーマンスが悔やまれます。その結果、ミス待ちのコスタリカにワンチャンスを決められてしまった。大きな大会になればなるほど、1つのミスが勝敗を左右するのがサッカー。あの時間帯、あのシーンだけみんなが浮き足立っているように見えました。それに対してコスタリカは90分間、アディショナルタイムも含めて集中が途切れませんでした」
ドイツとコスタリカの力の比較ではなく、第1戦の結果も合わせて日本にとってどちらが与しやすい相手だったのか。心理的に難しい試合で、詰めの甘さが顔を覗かせた末の黒星だった。
(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)