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ファストフード店で見るべき3つの栄養値 アスリートも「絶対食べてはいけない物ではない」

食べすぎると3つの側面からパフォーマンスに影響

 ファストフードを食べすぎると、「体作り」「集中力」「リカバリー」の側面から、パフォーマンスに影響すると考えられます。

 まず「カラダ作り」について。アスリートはパフォーマンス向上のため、それぞれの競技特性やポジションにあった体脂肪率、除脂肪量を維持することが求められます。そのため、運動や食事を調整しながら、身体体組成をコントロールすることが必要です。

 ところが、脂質の多いファストフードを頻繁に食べると、エネルギーの過剰摂取につながりやすく、体重や体脂肪量が増加しやすくなります。加えて、野菜は摂りにくいため、食物繊維は摂りづらい。食物繊維は腸内環境を整えて腸管から栄養の吸収をよくしたり、脂肪の吸収を抑えたりするため、摂る量が少ないと体作りにも影響します。

 次に「集中力」。運動中の主なエネルギー源は糖質です。糖質は体に入るとブドウ糖に分解され、エネルギー源として利用されるほか、筋肉や肝臓にグリコーゲンとして貯蔵されます。これらが不足すると、運動前は空腹感、運動中は疲労感が生まれ、集中力が低下するなどによってパフォーマンスの低下につながります。

 また、食べたものが胃に滞在する時間ですが、ご飯やパン、そば、うどん、野菜、果物など、植物性食品の多くは平均2~3時間です。一方、肉や魚介類、揚げ物など油分の多い食べ物は4~5時間になるといわれています。ですから、運動前に脂質を摂り過ぎると、胃の不快感を抱えたまま試合や練習、トレーニングを行うことになり、やはり、集中力の妨げになります。

 最後に「リカバリー」。高校生、大学生は特に部活動後にファストフード店に立ち寄り、「補食」として食べる機会が多いかと思います。しかし、脂質たっぷりの補食を摂ると、食べ物が胃にとどまる時間が長いため、その後の食事をしっかり食べられない場合もあります。 

 トレーニング後は筋肉のダメージを最小限に抑え、運動で消耗したグリコーゲンを速やかに回復させる必要があります。高糖質の食事は筋グリコーゲンの回復が早く、糖質とたんぱく質を一緒に摂ると、筋タンパク質の合成が高まります。そのため、部活後は胃に負担を掛けないよう、低脂質、高糖質・高たんぱく質の補食や食事を摂るのが理想的です。 

 また、マラソンのような長時間の中~超高度の運動を行うと、胃腸の機能が低下し、運動後に食欲減退や胸やけ、下痢を訴える選手もいます。その点からも、脂質の多いファストフードを運動直後に摂ることは、あまりおすすめできません。

 以上のことから、ファストフードを食べるときは、タイミングや頻度、そして「何を選べるとよいのか」をしっかり考えることが大事です。

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJ1横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けての食育活動も行う。アメリカ栄養士会スポーツ循環器栄養グループ(SCAN)並びに、スポーツ栄養の国際的組織PINESのメンバー。アメリカ栄養士会インターナショナルメンバー日本代表(IAAND)として、海外の栄養士との交流も多い。近著に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)

URL:http://food-connection.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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