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米大学で大活躍、異色の“逆輸入”で目指すNPB 英語のできなかった大山盛一郎が道を開いた生存術

二遊間の守備で軽快な動きを見せる大山【写真:羽鳥慶太】
二遊間の守備で軽快な動きを見せる大山【写真:羽鳥慶太】

英語ができないところからのスタート、道を開いた行動とは

 甲子園でプレーできなかった6年前の夏、その後の進路として大学からも、社会人野球からも声はかからなかった。偶然読んでいた雑誌で見つけたのが、米国に野球留学できるという記事。ほとんど前例のない道だったが、大山はこれに飛びついた。「とにかく情報がなくて……。英語もしゃべれないままに行って、アメリカの人に本当に恵まれたというか、助けられてここまで来ました。本当に楽しく5年間やれました」。そして異国で居場所を切り開く中で、必要不可欠だと感じたことがある。

「とにかく自分から動くことです。言葉が分からなくても」

 大山は興南高を卒業した2019年春に米国へ渡った。秋の入学に備え、語学学校に通うためだった。それでも「言葉ができるようになるのは遅かったと思います。2~3年かかりました」と言う。英語は、自分から積極的に外国人の輪へ飛び込み、体当たりで学んだ。また、米国では夏に大学生の選手を集めたサマーリーグが各地で開催される。大山はここにも自らを売り込み、ステップアップを果たしていった。

 大学での実績が認められ、昨夏招待参加したのは、東部のマサチューセッツ州で行われ、大リーグのドラフト候補が集まる「ケープゴッド・リーグ」だ。ここで大山は「オーリンズ・ファイヤーバーズ」の一員としてリーグ5位の打率.360を残すなど大活躍。オールスターやプレーオフでもプレーした。米国の大学球界で一目置かれる存在となった証明でもある。

「最初は日本から来たこんな小さい選手、全然評価されませんでした。でもこちらからいろんなリーグに連絡して、結果を出すことで進んでいった。自分からアクションを起こさないと始まらない。わからなかったらとにかく人に聞く。この世界で生きていくのに必死でしたから」

 昨秋のNPBドラフト前にも、逆輸入での指名があるのではないかと注目された。今回、日本に戻ってNPB入りを目指す方向へ舵を切ったのには、もう一つ大きな目的がある。

「こういう選択肢もあるんだよって伝えたいんです。挑戦したい人はいると思う。日本で僕が結果を残すことでそれも可能になるんだと思います」。自身のプロ入りで、後に続く選手の道まで切り開く。170センチの小柄な体には、そんな大志が詰まっている。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

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