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日本の“プロラグビー”はどうすれば成功するか スーパーラグビーを見習うべき理由

恵まれた日本の社会人チームをプロのように構造改革できるなら…

 現在のワールドカップによるラグビー人気をプロリーグの成功のために利用したいと考えるプロ推進派は多いはずだ。もしプロ化を進めるのであれば、立ち上げまでの“助走”時間を考えると、このSR方式のほうが短期間でテイクオフできるのではないだろうか。各プロチームに、ワールドカップで活躍した日本代表メンバーを散りばめることができれば、ファンを惹きつける大きな要素にもなる。

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 来年以降の存続が不安視されるサンウルブズの加入や、サンウルブズ同様にSRから除外されたオーストラリアのウェスタン・フォースなどの海外クラブの参入にも柔軟性を持たせる選択肢もある。SRの実力には及ばないが、国際レベルのパワーや技術を日本のトップ選手に体感させる場にすることができれば、代表強化の後押しにもなるだろう。SRでのプレーが失われた場合は、この新リーグを利用した国際レベルの経験は、さらに充実させる必要もある。

 日本でプレーする多くの外国人選手の話を聞いて、日本の社会人リーグのメリットを再認識させられることがある。

 母国ではプロの世界で揉まれてきた選手にとって、日本の社会人チームのように会社での仕事も、給料も保証されながらラグビーに打ち込めるのは夢のような環境なのだ。しかも、その企業のほとんが、外国人選手も知っている国際クラスの大企業ばかり。現役を引退すれば、海外では仕事を探すことになるが、日本では職場に戻り、その大半が望めば定年まで給与が保証されている。

 企業の準備したレールを走るだけの競技人生が、選手の甘えにつながることも認めざるを得ない。ここが企業スポーツの限界とも指摘されてきた。だが、本当に限界なのだろうか。この恵まれた環境に、プロに近い厳しい競争を落とし込むことができないか。いわゆる企業スポーツを、プロのようなコンペティティブな世界に構造改革できれば、スーパーラグビーのようなプロとも、従来の企業スポーツとも異なる、新しい日本流のリーグが姿を現すかも知れない。

 2年後にプロリーグを誕生させたいという思いも、タイミングを考えると理解はできる。だが、ここで“付け焼刃”のようなプランでスタートを切れば、2003年の創設から毎年のようにコロコロと大会方式が変わってきたTLと同じ失敗を繰り返すことにならないか。年数を限定した暫定的にでもSR方式のプロ化を導入した上で、社会人リーグのメリットなども踏まえながら、どの国のリーグとも異なる日本独自のプロリーグを生み出すことはできないのだろうか。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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