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「Jのない県」からJを目指して― ある地方クラブの奮闘記「サッカークラブのお仕事」

毎試合味が変わる今日だけのカレー【写真提供:奈良クラブ】
毎試合味が変わる今日だけのカレー【写真提供:奈良クラブ】

広報、営業、グッズ担当、チケット担当…多岐に渡るサッカークラブの仕事

 サッカークラブの仕事というと、どんな仕事を思い浮かべるだろうか。メディア対応などを通して選手やチームを売り出す「広報」、ユニホームや看板など様々なスポンサー探しに奔走する「営業」、あたりは想像に難くないだろう。ではオフィシャルグッズの製作・販売を手掛ける「グッズ担当」、チケット販売における施策を司る「チケット担当」などは、どうだろう。スポーツに限らず、興行を行う企業であれば、まだ馴染みのある仕事かもしれない。

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 スポーツクラブならではの仕事といえば、スタジアムにおける賑わいを創出する「イベント担当」、ホームタウンにおける地域貢献活動を行う「ホームタウン担当」、ファンクラブ組織を統括する「ソシオ担当」などが挙げられる。いずれもプロスポーツを成り立たせる上で、なくてはならない仕事だ。それ以外にも各クラブ「ならでは」のクラブ独自の事業やサービスに関連した仕事が存在する。奈良クラブでいえば、「キッチンカー担当」や「清掃担当」「教育担当」などがそれに当たる。

雨の中行われた開幕戦にてキッチンカーがお披露目された【写真提供:奈良クラブ】
雨の中行われた開幕戦にてキッチンカーがお披露目された【写真提供:奈良クラブ】

 クラブ所有のキッチンカーを利用し、スタジアムやホームタウン各所で飲食物の販売を行うのが奈良クラブの「キッチンカー担当」だ。このキッチンカーは、今シーズン開幕前にクラウドファンディングを募って購入したもので、自社でキッチンカーを所有する日本のサッカークラブはおそらく奈良クラブだけだろう。ホームゲーム開催時には、「今日だけのカレー」という、毎試合味の変わるこの日しか食べられないカレーをスタジアムグルメとして自社販売している。

 また試合日以外にもスポンサー企業やイベント会場などに出店し、カレーを振舞っている。最初のくだりで、私が述べた「カレーを煮込んでいる」というのがこれ。入社2日目にしてキッチンカー担当を拝命することとなり、飲食店でのバイト経験すらない自分が、仕入れやオペレーションを考え、簡単な調理もこなしている(料理の仕込み自体は毎節、有名カレー店にお願いしている)。その事実を半年前の自分に伝えても、にわかには信じがたいだろうが、これもまたれっきとしたサッカークラブの仕事である。

グッズを開発・販売するのがグッズ担当【写真提供:奈良クラブ】
グッズを開発・販売するのがグッズ担当【写真提供:奈良クラブ】

「清掃担当」は、地域貢献活動の一環として、駅や史跡などでゴミ拾いを実施しているし、「教育担当」は、大学との提携やクラブ独自の夏期講習の実施などを通して、クラブのフィロソフィーの一つである「学び」を体現する仕事だ。このあたりの取り組みはまた別の機会に弊コラムで紹介できればと考えているが、そのクラブ「ならでは」を具現化した仕事を増やしていくことが、地方のプロサッカークラブが生き残っていくヒントになるのではないかと考えている。

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