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競技は「人生の通過点」 自転車女子選手が“恋愛も隠さない”欧州で見た日本との違い

日本と異なるスポーツ選手のあり方「競技は人生の通過点、自転車一本は私だけ」

 ヨーロッパでの選手生活は日本のそれとはまったく異なっていた。スケート時代から、朝練に始まる毎日の長時間のトレーニングや練習は当然だったが、欧州のチームでは選手たちはときに午後からゆっくりと練習をスタート。練習後はカフェに集合し、お茶を飲みながらディスカッションをするのがいつものことだった。

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「日本にいた時は練習で毎日ヘトヘト。練習→食事→寝る! の繰り返しでした。ところがここで寡黙に練習していたのは、私とロシア人選手だけ(笑)。練習中に選手同士が談笑することもあって、“練習中も笑顔禁止”の環境で育ってきた私はすごく驚いた。

 カフェでのミーティング後は、ファッションや恋愛、夫婦生活に子育ての話に花が咲く。彼氏ができても、付き合っていることを監督にバレないようにビクビクしていた日本の環境とはまったく違った」

「美穂は自転車競技を終えたら何をするの?」。ある日、チームメートに投げかけられた一言にも、動揺した。「何って……何も考えていないけれど……」。そう答えたら、チームメートたちにえらく驚かれた、と笑う。

「当時のチームメートは18歳~40代まで。教員や弁護士、建築士の免許を持つ者、医者や経営者、マッサージ師を目指して学ぶ者。子育ての真っ最中だった選手もいて、誰もが将来のビジョンを明確に描いていました。皆にとっての自転車は人生の通過点。自転車一本で考えていたのは、私だけだった。

 自転車も真剣、人生も真剣。でも、スポーツはあくまで生活の一部であり、すべてではない。今まで知っていたスポーツ選手のあり方と、ゼンッゼン違うなと思いました」

 その後、欧州で着実に経験と実力を積み上げた沖は、順当にアテネ五輪の出場権を獲得。大会の翌年、イタリアのチームへ移籍すると、「次の北京も目指したい」とコーチに伝えた。

「“それで、いつまで自転車をやるの?”と言われました。僕は自転車のことはサポートするけれど、その先の人生はサポートできない。辞めたら何をするか考えているのか? と」

 何も考えていない、と答えると、北京までの4年間はそれを考える時間にするといい、と提言。イタリアのチームで競技を続けながら、沖は“選手の先の道”を探った。

「コーチのアドバイスに従い、自転車界以外の人とも交流するなか、やはり自転車に関わっていきたいという想いを強くした。具体的に何をすればいいのかは、なかなか見えてこなかったけど、次第にヨーロッパで指導の勉強をしたいと思うようになりました」

 08年、北京五輪のレースを終えて帰国すると、翌日には、次への挑戦の準備に入った。そして、同年10月、ジャパンカップサイクルロードレースで10回目となる優勝を決めると、約12年に渡る競技生活を終えた。

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビューや健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌などで編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(共に中野ジェームズ修一著、サンマーク出版)、『つけたいところに最速で筋肉をつける技術』(岡田隆著、サンマーク出版)、『カチコチ体が10秒でみるみるやわらかくなるストレッチ』(永井峻著、高橋書店)など。

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