[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

部活のスポンサーは地元のピザ屋や町中華 「お金は出すが口出さず」ジュニアスポーツの健全な商業化

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「地域のお店は、なぜ、運動部や子どものスポーツのスポンサーになっているのか」。

今回は「地域のお店は、なぜ、運動部や子どものスポーツのスポンサーになっているのか」(画像はイメージ)【写真:Getty Images】
今回は「地域のお店は、なぜ、運動部や子どものスポーツのスポンサーになっているのか」(画像はイメージ)【写真:Getty Images】

「Sports From USA」―今回は「地域のお店は、なぜ、運動部や子どものスポーツのスポンサーになっているのか」

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「地域のお店は、なぜ、運動部や子どものスポーツのスポンサーになっているのか」。

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

 ◇ ◇ ◇

 アメリカで飲食店に入ると、子どものスポーツの集合写真を飾っているところがある。私がこれまでに見かけたのは、自動車ディーラー、スーパーマーケット、スポーツバーなどで、スポーツバーでは、ご当地のプロスポーツ選手のユニフォームを飾っていることが多いが、地元の高校のユニフォームを飾っているところもある。

 こういったものを掲示しているお店は、全てとは言い切れないが、子どものスポーツチームや高校運動部のスポンサーであることが多い。自分たちが彼らの活動を支援していることを示しているのだ。集合写真に「オフィシャルスポンサー」という文言が入っているものや、子どもたちからの感謝状が飾られていることもある。

 スポーツのスポンサーといえば、ユニフォームにスポンサー名を入れて宣伝効果を図ることが思い浮かぶ。しかし、アメリカの高校の運動部でユニフォームにスポンサー名を入れているのは、4%以下で、グラウンドや体育館にバナーを掲示したり、このように店内で支援を示したりしていることも多い。学校外の子どものスポーツチームに関しては、正確なデータはないが、スポンサー名をユニフォームに入れている割合は学校運動部よりは高いのではないかと感じる。わたしの息子たちが小中学生時代に入っていた競技アイスホッケーチームでは、企業ロゴの入ったユニフォームを着用しており、小学校低学年時のレクリエーションの野球チームのユニフォームには、背番号の上に医療クリニックの名前が入っていた。これは保護者のひとりが経営していたクリニックであった。

 先日、ミシガン州デトロイト郊外で、ベーグルとコーヒーを売るお店に入ったところ、2000年ごろからの地域の子どものバスケットボールチームの集合写真がずらりと並んでいた。ああ、このお店は熱心にスポンサーをしているのだなというのがお店の第一印象だ。オーナーに聞いてみると、写真は飾っていないが、中学や高校の運動部も支援しているとのこと。

 スポンサーをしている理由をたずねるとこのような答えが返ってきた。

「私はここで22年間、ビジネスをしています。この地域のまわりにはたくさんの学校があり、中学校と高校もあります。私たちのお店に毎日のように来てくれる常連のお客さんは、(学校に子どもを通わせている)保護者が多いのです。子どもたちもこの地域で育っていきます。この地域にある中学校や高校はさまざまな活動をしており、(その活動を運営する保護者は)財源の調達をしています。

 うちのお店だけでなく、この地域のスモールビジネスは、そこの中華料理店やピザ屋とかも、助けを求められます。こういう支援をしてほしいとか、ベーグルを差し入れしてほしいとか。こういったお願いをしに来られるのは、私たちの常連のお客です。それで、いろいろなイベントにベーグルを寄付しています。子どもたちはとてもベーグルが好きですから」

1 2

谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
CW-X
ABEMA 学割
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集