「僕は超一流ではない」元巨人ドラ1がチェコで大活躍のワケ 7か国で投げつかんだノウハウ「全て吸収」
感じた日本と世界の違い「良くも悪くも、鎖国をしていた国」
何か特別なことをしたわけではない。ただ現地の言葉を少しでも使うよう心がけたという。「あいさつですね。『こんにちは』とか『ありがとう』とか『乾杯』とか」。チェコ語は変化が多く、日本人には難解なことで知られる。村田も「数字の1から3までを教えてもらった時にできなさすぎて、これは難しいなと思った」と苦笑い。それでもコミュニケーションは成り立った。柔軟な考え方のたまものだ。
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「固定観念は良くないと思っているんです。物事をプラスマイナスで考えるのではなく、みんな吸収している。チェコ人はそこが得意だと思います。人もいいですしね」
バンテリンドームのグラウンドでは、チームメートだったチェルベンカと談笑する場面もあった。チェコ生まれでアメリカに渡り、マイナー3Aまで上がった選手だ。チェコ球界の現状を見れば「上のレベルで学べたら、もっとうまくなるんだろうなという選手はたくさんいます。チームメートのチェルベンカもそうですし、僕は見たことないんですけど、巨人に入るフルプもそんな選手ですよね」。まだまだ、伸びしろにあふれていると見ている。そんな国から日本野球はどう見えたのか。
「これはどう伝わるか分かりませんが」と前置きした上で口をついたのは、興味深い指摘だった。
「良くも悪くも、鎖国をしていた国だなと思うことがあります。日本の方が異質だなと思うこと、結構多いんですよ」
野球に限らず、日本と世界の違いを感じながら投げ続けてきた。今後の現役生活をどう考えているのか問うと「まだまだ勉強が足りない。いつ選手生活は終わるか分かりませんから。できるうちは続けたいと思っています」と力強い言葉が帰ってくる。それも、人生の目標を達成するためなのだという。
「引退してからも野球の仕事に就けるのが一番かもしれませんけど、僕の目標は1人の人間として“いいお父さん”であることなので」
そのために、今はもっと野球がうまくなりたいと願う。「世界の野球がすごい勢いで変わっています。情報が増えて、何でも動画や数字で見られるようになりました。ただ、どれが正解かはわかりませんし、また違ったものが出てくる可能性もある。米国の、常に新たなものを生み出していくパワーはすごいと思います。そこに我々もついていかないといけない」。これほど様々な野球を見てきた選手は、そう多くない。まだまだ貴重な経験を増やしていきそうだ。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)