16戦全勝リーグワン最強の野武士軍団 埼玉WKをどう止めるか、リーチマイケルが「ラスボス」と名指しした男
リーチが埼玉WKの「ラスボス」と名指しした選手「全部を見る、全部を管理する人」
埼玉WKの強さについて話を進めると、リーチはロビー・ディーンズ監督の名を挙げて言及している。
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「いいHCだと思います。実は春に、クルセイダーズ主催によるリーダーシップの勉強会のようなプログラムがオンラインであって、参加したんです。そこでロビーさんも話をしていたが、本当にさすがだな、だから強いんだなと思いました。彼は、クラブを作る時に何を大事にするかということを話していましたが、すごく参考になりました。クルセイダーズというクラブを最初に作った時から、ずっとベースがしっかりしていることがわかったし、ロビーさんが常に人間ファーストでチーム作りをしてきたんだということも学べました」
クルセイダーズの母体となるカンタベリー(地域代表)はチーム結成が1879年という歴史を誇るが、現在スーパーラグビーに参戦するチームは、リーグが立ち上がった1996年にプロクラブとして誕生した。地域代表、そしてクラブ黎明期からチームを築き上げ、HCとしてスーパーラグビーで5度のタイトルを獲得したのがロビー・ディーンズだった。
実際にディーンズ監督を何度もインタビューをして感じるのは、具体的な戦術やチーム強化、試合の準備に影響するような選手名を挙げることはほとんどなく、話は選手にどうラグビーに向き合うことの意義を考えさせるかなど、チーム哲学のような話へと展開していくのがこの名将の特徴でもある。リーチも、ブラックアダーHCの恩師でもあるディーンズ監督の“講義”から、常勝チームを創り上げるための根源的な哲学を感じ取ったはずだ。
そして、ディーンズHCと同時にリーチ主将が宿敵の圧倒的な強さを支える存在として「ラスボス」と名指しした選手がいる。HO堀江翔太だ。
今季限りでの引退を表明して、リーグワンでのプレー時間では、チーム主将を務める坂手淳史と「折半」が多い堀江だが、チームにもたらすプラスの影響は、ピッチに立つ40分だけに止まらず「シーズンを通して」(リーチ)だと感じている。
「堀江さんって、常に喋っているし、勝ちたいという思いを持ち続け、そのために様々な努力をする。(ゲーム、チーム)全部を見る、全部を管理する人です。バックフィールドも、フロントローも、LOも。それにディフェンス、タックルなども全部考えて、プレー出来るのが堀江さん。相当ゲーム理解度が高いんです」
リーチの日本代表入りが2008年、堀江は2009年とほぼ同期に近い。そこから苦闘の時代も栄光の時も共に戦ってきた盟友であり、堀江の選手としての能力、人間としての奥深さを知るリーチだからこそ、尚更「ラスボス」がチームに及ぼす影響力も、対戦相手としての恐ろしさも知り尽くす。
「代表でも、コーチが詰めていない部分を全部、堀江さんが話を詰めて進めていく。本当に大きな存在です。同じことはパナでも起きているのは間違いない。だから強い」
決勝での対決が実現すれば、それは堀江の現役最後の試合になる。
「そうですね。すごく難しい。最後のゲームですから、もちろん埼玉WKは堀江さんを気持ちよく送り出したいだろうし。でも、僕らは先ず準決勝にフォーカスして、決勝に進んでから考えます。もちろん、相当リスペクトしている選手ですし、僕らは僕らで自分たちと向き合って、しっかりとした試合が出来ないといけないなと思います」