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ラグビー日本、「世界TOP12か国」新大会に参戦か W杯の裏で動き始めた“3つの改革”とその思惑

刷新されるPNCで日本に求められる役割

 最後にPNCのリニューアルについてだが、この大会については、過去も様々な形態で開催されては休止、再開を繰り返してきた。今回は北半球と南太平洋のラウンドに分かれての開催、そして決勝大会は日本とアメリカが交互に開催していく。日本はアメリカ、カナダと対戦することになる。

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 ここで疑問が浮かぶのは、日本代表の強化にこのカードがどこまで重要かだ。ともに今回のW杯出場権を逃し、10月26日現在の世界ランキングは日本の12位に対してアメリカが18位、カナダが23位だ。毎年大会が確保されるのは日本代表にはなかった環境だが、むしろ国籍条項の変更で有望選手の参加が増えているフィジーら南太平洋勢との対戦が望むところだろう。

 31年大会を南北アメリカ大陸で初めて開催するアメリカにとっては、好都合の定期戦になるが、日本にとっては、先に触れた選手層の拡大に生かせれば好都合だろう。来年もすでに確定しているイングランドら強豪国との対戦にはまだ実力不足の若手選手の経験値を、PNCを活用することによって上げることができれば、日本の課題にも大きく寄与する大会になるはずだ。

 日本は、今夏からWRで「ハイパフォーマンスユニオン」と承認された。これは、協会の事業力として世界のトップ協会として認められたことを意味する。トップレベルの国際試合開催などに関する話し合いに加わる権限を与えられ、将来的には日本代表が世界トップレベルの強豪を意味するティア1チームと認められるための布石とも考えられる。しかし、このハイパフォーマンスユニオン入りは、見方を変えれば日本が「与えられる国」から「与える国」になったことも意味しているはずだ。

 もし刷新されたPNCが、WRボーモント会長が唱える「少数ではなく、多くの者を支援する時代」に寄与するものと考えれば、日本協会にとって下位国チームに強化の手を差し伸べるという役割も担うことになる。理想を言えば、まだラグビーの普及という点では開拓する余地がふんだんに残されているアジアでの展開に、この地域唯一のハイパフォーマンスユニオンとしての日本の尽力がさらに求められるのだが……。

 WR会長の言葉で間違いないのは、ラグビーが大きな変動期に入ろうとしていることだろう。枠組みが大きく変わり、今までチャンスのなかった国、地域、チームにも視線が注がれ、支援の手が差し伸べられる。その中で日本は、どう大きなうねりに乗り、世界の中での立ち位置を確保していくのか。

 期待や可能性が高まる中で、舵取りが重要な新たな時代が動き出した。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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