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ラグビー日本、「世界TOP12か国」新大会に参戦か W杯の裏で動き始めた“3つの改革”とその思惑

次回W杯で注視すべきは1週間短くなる大会期間

 その一方で、現時点では参入チームに名が上がらない国の選手からは、強い異論もある。元ニュージーランド代表で、W杯で日本とも対戦したサモア代表のSOリマ・ソポアンガ(清水建設江東ブルーシャークス)は、自身のSNSで30年まで昇格がない決定に対して、こう訴えている。

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「TNCは、ラグビーをプレーする小国にとって希望の光となるはずだった。私たちはオールブラックス、スプリングボクスらと戦う機会に興奮していました。しかし、その夢は打ち砕かれました。この除外は我々の向上の可能性に影響を与えるだけでなく、次の偉大なラグビー選手を目指す我が国の若い才能にも影響を及ぼします。敬意、包容力、フェアプレーであるべきラグビーの本質に対する裏切りだ。私たちは慈善活動を求めているのではない。競争し、フィールド上で自分たちの価値を証明し、自国のスポーツを発展させるための平等な機会を求めている」

 7年後の昇降格というのは、現役選手にとってはあまり現実的な決定でないのは明らかだ。ソポアンガの憤りは頷ける部分も多く、なおかつ彼は未来の後輩たちのことも踏まえて苦言を呈している。WRやラグビー界が「仲間」と「それ以外」という壁を作りがちだという、この競技の黎明期から延々と続く負の遺産を露呈しているとも考えられる。

 では、W杯出場国の拡大は日本代表に何をもたらすのか。決定はあくまでも次回大会のみとされているが、その後も継続的に24枠になる可能性は高いだろう。

 フランス大会で次回出場権を手にしている日本には参加国数は影響ないが、大会方式のうちプール戦の枠組みが5チーム4組から4チーム6組となり、決勝トーナメントが各プール上位2チームと、プール3位の中で成績上位の4チームの16チームで争われることは重要だ。

 日本がプール戦を突破するのは容易になるが、岩渕専務理事は「日本代表が目指すのがベスト8突破というのは変わらない。なのでベスト4まで勝ち進むという点では、今回のプール最終戦を勝つのと、16強の1回戦を勝つことにそう大きな違いはない」と、勝ち抜くことの難しさに大きな違いはないという見解を語っている。

 むしろ、注視するべきは次回大会の開催期間が27年10月1日から11月13日と、今回よりも1週間短いことだろう。今大会の日本代表は平均1週間以上の試合間隔を確保できたが、もし次回タイトな日程になった場合は、選手の消耗という課題も浮上する。

 岩渕専務理事も「今回決勝トーナメントに出ているチームを見てもわかるように、選手層をいかに厚くして選手を回していけるかが重要」と指摘するように、強豪国はW杯登録メンバー33人を上手くローテーションさせながら、選手のコンディションを整えて戦ってきた。その一方で、日本代表は出場のないまま大会を終えた選手が5人に上るなど、主力選手とそれ以外が明確に分かれていた。4年後へ向けては、より多くの選手のポテンシャルを高め、起用しながらコンディションを整え、大会を戦い切ることが課題になるだろう。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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