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閉幕したアジア大会が迎えた転換期 メダル数争いに違和感、次回名古屋大会に必要な「友好第一」

杭州アジア大会が8日に閉幕した。五輪よりも多い40の競技で熱戦が繰り広げられ、多くのドラマが生まれたが、競技以外でも印象的な場面は多かった。26年に20回目を迎える「アジアのオリンピック」。名古屋大会は、どんな大会を目指せばいいのか。(文=荻島 弘一)

競泳で感動を呼んだ池江璃花子(手前)と張雨霏の抱擁、アジア大会には今こそ「友好第一」の精神が必要だ【写真:Getty Images】
競泳で感動を呼んだ池江璃花子(手前)と張雨霏の抱擁、アジア大会には今こそ「友好第一」の精神が必要だ【写真:Getty Images】

競技によって異なる「アジアのオリンピック」の位置づけの課題

 杭州アジア大会が8日に閉幕した。五輪よりも多い40の競技で熱戦が繰り広げられ、多くのドラマが生まれたが、競技以外でも印象的な場面は多かった。26年に20回目を迎える「アジアのオリンピック」。名古屋大会は、どんな大会を目指せばいいのか。(文=荻島 弘一)

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 金メダルは52個で前回ジャカルタ大会から23個減、メダル総数は188で02年釜山大会以来の200以下――。8日に閉幕した杭州アジア大会のメダル数争いには、違和感を覚えずにいられなかった。連日のメダル速報など、正直どうでもいいとさえ思っていた。

「パリ五輪前哨戦」などともいわれたが、競技によっても大きな違いがあった。競技そのもののアジアのレベルも違えば、競技によって大会の位置づけも違った。全40競技中9競技で来年のパリ五輪予選を兼ねる一方で、同時期に他で五輪予選があるため主力抜きで組む日本代表もあった。

 五輪ならばどの競技も「最大の目標」になるだろうが、アジア大会は競技によって選手選考の方針も大会の重要度も異なる。日本オリンピック委員会(JOC)は大会前にメダル数の目標を定めなかったが、それも仕方のないこと。各競技ごとの目標はあるだろうが、全体の目標設定は難しいからだ。

 水球男子やブレイキン、ボクシングなどで五輪出場を決めたのは素晴らしかったが、大会を通して印象に残ったのは試合以外の場面だった。サッカー男子準々決勝で北朝鮮が日本に対してラフプレーを連発するなど、勝負に固執しすぎる場面も目立った。

 福島原発の処理水放出問題から、大会直前に日中関係は悪化。18年ジャカルタ大会では複数の競技に合同チームで臨んだ北朝鮮と韓国の関係も悪化した。多くの競技で上位に並ぶ国だから、常に政治的な暗い影を意識せざるをえない大会になった。

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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