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ラグビー日本代表は「もっと強かった」 敵将指摘の現在地、W杯で生命線となる異色の戦術とは

紙一重の勝利、随所に見えた不用意なミス

 とはいえ、40日を切ったW杯でプール戦を突破するために勝たなければならないイングランド、アルゼンチンという強豪のメンバーを見ると、LOには世界トップクラスのサイズとパワーを誇る選手が並んでいる。第2戦で戦うイングランドには198センチ・110キロのマロ・イトジェ、若手で203センチ・118キロのオリー・チェザム。プール最終戦で当たるアルゼンチンも、激しさが武器の201センチ・130キロのトマス・ラバニーニ、199センチ・117キロのマティアス・アレマノという、世界屈指のリアルLOを擁している。

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 イングランドを率いるのは、元同国代表LOで、元日本代表アシスタントコーチとして日本を知り尽くすスティーブ・ボーズウィック、アルゼンチンHCはオーストラリア代表も率いたマイケル・チェイカという経験豊富な指導者だ。日本戦ではどこに自分たちの優位性があり、どこを攻めるべきかを十分に分析、準備してくるはずだ。

 テストマッチでは昨年6月25日のウルグアイ戦以来、ノンテストでも同10月14日のオーストラリアA戦以来の勝利となったトンガ戦だが、勝敗は紙一重だった。後半39分には敵陣に攻め込みながらインターセプトから独走を許し、偶然自陣22メートルライン内に負傷で倒れていたFB松島幸太朗(東京SG)がタックルに戻り、同点、逆転の危機をかろうじて回避した。元オーストラリア代表NO8でS東京ベイでも活躍したトンガ代表のトウタイ・ケフHCも、個人的な意見と断りながら「3、4年前の日本はもっと強かったと思う。現状は怪我人が多く、厳しい練習を積んでいる状況だと思います。4年前はトンガが40、50点差(7-41)で負けていた。これから疑いの余地なく、まだまだ良くなっていくチームだと思う」と指摘する。

 自分たちのスコア直後に不用意なミスから失点するなど、ここまで修正し切れていない課題や、FLピーター・ラブスカフニ(S東京ベイ)のように、まだ実戦復帰できない候補メンバーも残っている。国内残り1試合という時間を考えると、大会前にどこまで組織の完成度を2019年大会のように高めることができるか。時間との戦いは開幕直前まで続きそうだ。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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