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「めちゃめちゃきつい」減量生活 柔道女子48kg級の角田夏実、階級変更で直面した“4kg差”の壁

減量成功のポイント「ずっと我慢して減らしていると停滞する」

「本格的に転向した講道館杯では、体重があまり増えていなかったので逆に食べて52キロくらいにして大会前の10日ぐらいで無理やり落としたりとか。何回か試して、やっと今の形でできてきたなと思います」

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 食の好みも変化したという。

「52キロ級の時は、そんなに甘いものは食べなくてたまに食べるぐらいだったんですけど、減量して我慢し出すとすごい食べたくなります。ラーメンもめちゃめちゃ好きなんですけど、そういうのはやっぱり1か月前ぐらいからやめたり」

 その「ごほうび」が、精神的に乗り切る原動力でもあるだろう。

 自身の減量法で、アドバイスできるポイントは? そう問うと、角田はこう答えた。

「私の減量方法はあまり良くはないと思います。最後の水抜きなんかは特に良くないと思うんですけど……。その上で言えば、やっぱり塩分量を減らしたり、濃い味のものを減らしたりすることでしょうか。あとはトマトとかバナナといったカリウムが多いものを摂ると、汗が出たり塩分が出てくれます」

 慣れてきているとはいえ、きついことに変わりないのは次の言葉に表れている。

「減量は、めちゃめちゃきついです。大会が近づくと、『また減量が始まるな』と思います。ずっと我慢して減らしていると停滞してしまうので、月曜から金曜まで頑張ったら、土曜日の夜に好きなものを食べて気持ちと体をちょっと一回休ませて、また月曜日から頑張るようにしています。やっぱりずっと我慢というのはできないですから。それがあるから乗り越えられるかな」

 気を張ったままではないことが、コツであるのだろう。

 減量とも戦いつつ、角田は世界の頂点に立ち続けているのだ。

■角田 夏実(つのだ・なつみ)

 1992年8月6日生まれ。千葉県出身。小学2年から父親の影響で柔道を始めると、八千代高を経て東京学芸大に進学。大学で寝技の技術に磨きをかけると、2013年の学生体重別選手権で自身初の全国優勝を果たす。了徳寺大学(現・SBC湘南美容クリニック)に進み16年のグランドスラム・東京大会で優勝。19年に52キロ級から48キロ級に階級を変更すると快進撃が始まり、21年世界選手権から日本の女子選手として史上3人目となる3連覇を達成。6月29日に2024年パリ五輪代表への内定が発表された。

(松原 孝臣 / Takaomi Matsubara)

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松原 孝臣

1967年生まれ。早稲田大学を卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。その後スポーツ総合誌「Number」の編集に10年携わり、再びフリーとなってノンフィクションなど幅広い分野で執筆している。スポーツでは主に五輪競技を中心に追い、夏季は2004年アテネ大会以降、冬季は2002年ソルトレークシティ大会から現地で取材。著書に『高齢者は社会資源だ』(ハリウコミュニケーションズ)、『フライングガールズ―高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦―』(文藝春秋)、『メダリストに学ぶ前人未到の結果を出す力』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

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