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「4回転トウループはもう少しで…」 飛躍する15歳新星・中井亜美、2026年五輪への未来予想図

2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪出場を目標に、4回転の習得も目指している【写真:積紫乃】
2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪出場を目標に、4回転の習得も目指している【写真:積紫乃】

中井の演技から感じるスケートをする喜び

 以前、選手に取材した時、ジャンプなどを成功させる喜びと達成感を魅力として語る一方で、1人リンクに立ち、多くの人々の視線にさらされる怖さとそこからくる緊張、それを克服するための努力について聞いたことがある。あるいは、例えばジャッジと目線が合うことが恥ずかしくて目を向けるのが簡単ではない、という話をする選手もいた。

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 多くの人々の視線を集めること、見てもらえることを嬉しいと感じられる中井は、ある意味、フィギュアスケーターとしての「武器」を、特性を備えているのかもしれない。

 だから昨シーズン、コロナが収まりを見せてきて有観客で開催される試合が増え、しかも声援が解禁されたことが嬉しかったと語る。

「その前はお客さんがいなかったり、声援がない試合がたくさんあって悲しかったというか、試合という感じがしなくて。今はお客さんもいて拍手もあって、楽しいです」

 スケートをする喜び、そこから生まれる向上心をうかがわせる言葉がある。

 今、日本女子の若い世代には、中井に限らず、例えば世界ジュニア選手権で優勝した島田麻央(木下アカデミー)をはじめ将来を嘱望される選手たちが現れている。そうした近い世代の選手たちをどう感じているのか。

「たまに同じリンクで練習することがあります。そこで一緒に練習すると自分とのレベルの差を感じるので、すごい刺激になりますし、自分のモチベーションにつながってきます」

 刺激になるのは近い世代にとどまらない。

「上手な人たちとこれからもっと試合で一緒になると思うので、もっともっと練習していきたいと思います」

「練習していきたい」というのが言葉だけではないことは、指導する中庭コーチの話が裏付ける。

「自分が決めたことをやりきる。例えば調子が悪い日でも絶対1回は跳んで帰る、というように、最後までやりきれる、今日のベストを尽くせる、コツコツとやれるところに中井さんの良さがあります。だから昨シーズンの大会での成績に対しても、別に驚きはないです」

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松原 孝臣

1967年生まれ。早稲田大学を卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。その後スポーツ総合誌「Number」の編集に10年携わり、再びフリーとなってノンフィクションなど幅広い分野で執筆している。スポーツでは主に五輪競技を中心に追い、夏季は2004年アテネ大会以降、冬季は2002年ソルトレークシティ大会から現地で取材。著書に『高齢者は社会資源だ』(ハリウコミュニケーションズ)、『フライングガールズ―高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦―』(文藝春秋)、『メダリストに学ぶ前人未到の結果を出す力』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

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