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年俸1億円超えも「珍しくない時代」 日本ラグビーで進む高騰化と“カテゴリA”の問題

チーム関係者から年俸高騰は自然の成り行きとの声も

 そして、カテゴリAの選手だという理由で留学生を獲得しているチーム側からは、厳しい指摘もある。あるチームの採用担当者の声だ。

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「最近の留学生を見ていると、育成されていないなという印象です。日本語は覚えるけれど、いい加減な言葉ばかりだし、選手以前の段階として日本の社会で働いていけるほどの人間性や社会性も不十分な選手もいます。年俸で行き先を決めているから、チームへの帰属意識もあまりないような選手もいます。トップリーグ時代からの、いわば紳士協定で大学新卒の年俸は500、600万円に抑えられているのが現状だが、契約を1、2年だけにして、すぐに数千万円のサラリーを要求してくる選手も多いですね」

 その一方で、異なる視点で高騰化を見ているチーム関係者もいる。ある強豪チームのGMは、年俸高騰は自然の成り行きだという考え方だ。

「高騰の理由は、これまで試合に出られなかった選手が、カテゴリAという制度のおかげで出場チャンスが増えたことで、抑えられていた年俸が上がっているためだと思います。そのような選手をチームに引き留めるためには、賃金を上げないといけないということでしょう。物の価値は市場が決めるのだから、高騰してもしようがない。それをルールで押さえつけるようなことがあればナンセンスではないだろうか」

 こう指摘するのと同時に、問題なのはカテゴリAではなく日本選手がプレーできる環境をいかに整えるかだという。

「現行のカテゴリ制どうこうよりも、もっと明確に日本人選手をリーグワン公式戦でプレーさせる枠を作ることが大事だと思います。そのために、どのようなルールを作るのかを考えるべきではないか。大学生や高校生が、リーグでちゃんとプレーできる環境を、リーグとチームが一緒に考え、作っていかないといけない。そういう道筋を作ることが大事なのかなと思います」

 確かに選手の契約も自由市場であると考えるのなら、このような意見もあるだろう。そして、日本選手の育成をどう担保していくかも、リーグワン、そして日本のラグビー界にとって重要な課題になるはずだ。その一方で、もし日本選手に特定の出場枠を設けるとすれば、外国人選手の雇用問題、そして帰化選手らをどう考えるのかなど、どこまで規約として実現可能なのかを考える必要があるはずだ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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