年俸1億円超えも「珍しくない時代」 日本ラグビーで進む高騰化と“カテゴリA”の問題
カテゴリAの導入で海外選手の需要が高騰
この代表資格の国際ルールが、リーグワンの出場規約に反映されている。国内リーグを代表強化に活用するためには、日本代表資格を持つ選手を優遇して、より多くの契約チャンス、そしてプレー機会を持たせたいという日本ラグビー協会の戦略がある。日本選手はもとより、外国勢でも代表に入れる選手をより多く集めたいという戦略が反映されて設けられたのが、カテゴリAだ。
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規約では、今年の12月から始まる2023年シーズンから、カテゴリAの選手の出場枠は1試合の登録選手23人中17人以上、先発15人中11人以上と定められている。ピッチに立つ大半の選手がカテゴリAということだ。ちなみにカテゴリBは、条件をクリアすれば将来、日本代表資格を獲得可能な選手、カテゴリCは他国代表選手とカテゴリA、B規定外の選手。B、Cの人数については、合計で1チーム10人以下か保有選手数の20%以下のいずれか少ないほうという制限がある。
そして、このカテゴリAの導入で、日本代表の選考規約をクリアする海外選手の需要が高騰しているという。その顕著な例が、大学、高校世代で来日する留学生選手だ。ある強豪チームスタッフは、留学生からリーグワンチームに入団する選手の実情をこう説明する。
「トンガやフィジーなど南太平洋諸国から来た留学生は、どのチームにもたくさんいるが、カテゴリAの選手だと年俸は3000、4000万円です。それが日本代表入りすれば7000万円くらいになる」
前編でも紹介したエージェントの小林清も、同じような状況を指摘する。この状況には、職務上はチームに金額を提示する側の立場ながら不安も感じている。
「カテゴリ制度を否定はしません。ただ、この制度ができたことで、本来なら1000万円くらいの(年俸の)カテゴリAの選手が5000万円、6000万円になっています。これだと日本ラグビーのためにはならないだろうし、そのお金は他に使うべきところがあると思います。一部のエージェントは、カテゴリAの選手を、どんどん上げちゃえと(年俸を)ボーンとふっかけています。それを止めないと、チーム、リーグは自分たちの首を自分たちで締めているように見えます」
リーグワンのカテゴリA絡みで、大学チームの留学生事情も変貌しているというのが小林の印象だ。社会人チームを中心にエージェント業をしているが、大学チームからの留学生を探してほしいという要望が増えているのだ。従来から受け入れている大学だけに止まらず、今まで留学生がいなかったチームからの相談が顕著だという。