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年俸1億円超えも「珍しくない時代」 日本ラグビーで進む高騰化と“カテゴリA”の問題

W杯を前に外国人選手の売り込みが増加

 そして、問題視する年俸の高騰には、ワールドカップ(W杯)も影響しているという。

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「(W杯が)高騰化の1つのベンチマークになっていますね。1つの大会が終わると、スーパースターたちがチームを移籍する。次回大会まで4年あるので、1、2年海外でも行こうという流れがあります。なので、W杯1年前の今が、まさに高騰化が起きているところです。来年のW杯後に日本でプレーできますという選手のリストが、エージェントから大量に送られてきている。その金額を見ると、目玉が飛び出るような数字です。1億(円)超えは珍しくない時代を迎えようとしています」

 詳細は出せないが、トップクラスの外国人選手の年俸は、少なくとも日本では2000年代序盤はまだ落ち着いていた。おおよその数字だと、数千万円という額が相場で、トップ選手でも四捨五入で1億円なら高給取りだった。だが、2015年W杯前後の時期から、世界で最上位クラスと言われる選手は億を超える契約が生じていた。当時はまだ一握りのスーパースターだけが1桁違うサラリーだったのだが、2023年大会に呼応するように“億”のプライスタグが増えているという。

 年俸の高騰には、様々な要因があるのは間違いない。そのなかで日本での高騰化、マネーゲームが起こる理由の1つとして、チーム、リーグ、そしてエージェントですら認めるのが、リーグワン発足時に設けられた「カテゴリA」という選手の出場規約だ。

 カテゴリAを簡単に説明すると、国籍を問わず日本代表選手および代表資格のある選手を指している。つまり日本人選手の大半と、日本代表資格を持つ海外出身選手が対象だ。日本ラグビー協会とは独立した社団法人であるリーグワンだが、選手の出場規約に日本代表の強化につながる条件を設けているのだ。

 ここで、カテゴリAにも関わるラグビーの代表規約も簡単に説明しておこう。五輪種目やサッカーが原則として、その国の国籍保有者と定めているのに対して、ラグビーでは“パスポート”は副次的な条件だ。家族の出身国(地域)や、当該国での居住年数などで外国人でも代表資格を得ることができるのが伝統だ。数年の間隔で改定されてきた代表規約だが、現時点では3親等までの家族、つまり祖父母までの出生地や、1つの国に60か月の継続居住(プレー)などの条件をクリアすれば、その国の代表資格を得ることになる。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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