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「僕らには責務がある」― 日本サッカーの礎築いた故・岡野俊一郎氏の言葉

まさに「八面六臂」の働き、自ら仕掛けて話題を提供

 協会通りに大きなビルが建った今では考えられないことだが、岡野さんの活動ぶりは、文字通り「八面六臂」だった。ヘッドコーチ、通訳、マネージャー、情報収集、戦術分析、渡航手続き、渉外、広報、解説、番組企画制作……、すべてを1人でこなしていた。当時30歳代前半で「若かったから出来たんでしょうね」と振り返る。

 残念ながら最近の広報は、取材を規制することが仕事だと考える傾向が強いが、岡野さんは自ら仕掛けてメディアが飛びつき易い話題を提供した。1964年東京五輪で、日本はアルゼンチンを破る快挙を成し遂げた。まだ五輪がアマチュアの祭典だった時代だが、アルゼンチンには後にプロも含めたフル代表としてワールドカップでプレーする選手も含まれていた。この試合で圧倒的なパフォーマンスを見せたのが、駿足ウィンガーの杉山隆一氏。試合を終えると、岡野さんはアルゼンチン関係者の輪の中に飛び込んでいった。

「どうだ杉山はプロでも出来るか」

「十分に出来る」

「20万ドルくらいの価値はあるかな……」

「まあ、そうだな」

 1ドルが365円で固定されていた時代なので、20万ドルといえば、プロ野球でも最高レベルだった。日本のメディアは即座に飛びつき、それから杉山氏には「黄金の足」との形容がつくようになり、その足には保険がかけられた。

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近東京五輪からプラチナ世代まで約半世紀の歴史群像劇49編を収めた『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』(カンゼン)を上梓。『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(ともにカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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