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「パリ五輪」&「世界8強」へ挑戦 ラグビー女子日本代表、強化責任者が語る勝負の1年

堅実なカナダ、アメリカの「身体能力」とイタリアの「試合巧者」を警戒

 では、実際にRWCで対戦する相手については、日本代表首脳陣はどのように見ているのだろうか。代表HC経験もある浅見副会長の分析を聞いてみた。

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「最初に対戦するカナダに関しては、組織として本当にしっかりしている印象です。カナダの場合、女子ラグビーが昔から男子よりも結果を出していたりするチームです。なので、本当に堅実に強いなという印象はありますね。

 アメリカに関しては、カナダもですが7人制の選手が15人制にも入っていて、こういう選手が本当にアスリートなんです。アフリカ系のスプリンタータイプの選手が、今回も出てくる可能性はあるでしょう。ただし、9月に南アフリカで7人制ワールドカップがあるので、各国そこに集中してやってくると思います。南アフリカで戦って、1か月後のワールドカップに連れてくるのかはまだ分からない。17年大会では7人制のトップ選手が15人制でも活躍しているので、いい形でシェアできていた。今年どのような対策をしてくるのかは、各ユニオンのさじ加減というか、やり方だと思います。いずれにせよ、アメリカの場合は身体能力はかなり高いはず。ラグビーという部分では、カナダのほうがレベルが高い印象があります。

 イタリアは、2019年の対戦では引き分けていますが、チームに波があるのが特徴です。引き分けた試合では、少しメンバーを落としていたかなという印象もありました。そして、毎年女子6か国対抗で経験を積んでいるぶん、試合巧者という特徴もある。能力的には日本と大きな差があるとは思わないし、上位国のなかでは体も小さく細いけれど、17年のワールドカップで対戦した時も上手くやられてしまった印象です」

 それぞれキャラクターの異なる相手との8強入りをかけた勝負だが、重視するのは自分たち自身だともいう。

「リオデジャネイロ五輪の7人制でも、2017年のワールドカップでもそうでしたが、最後は選手のコンディションをどこまで整えていけるか、コンディションのいい選手を揃えていけるかでしょう。本当に使いたい選手が、本当にいい状況でニュージーランドに行けるかが、メディカルも含めてチームの総力戦になる。そこはクラブチーム側のメディカルスタッフの皆さんにもご協力いただいて、選手をどう、いい状態に保てるかに挑んでいきたい。そういう緻密なところが勝負になってくるのかなと思います」

 男子も含めて、最前線のラグビーでは、まさに浅見副会長が指摘した選手のフィジカル、メンタル両面でのコンディショニングが、技術、戦術に並ぶほどに重視されてきている。日本にとっては、このようなグラウンド外も含めた環境作りが決して苦手でないことは、2019年の男子代表も証明している。男女の枠にとらわれない、まさに“ワンチーム”の準備でニュージーランドへと加速したいところだ。

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浅見敬子

日本ラグビーフットボール協会副会長(女子15人制日本代表ナショナルチームディレクター) 
1977年3月4日生まれ、東京都出身。日体大在籍時の1996年に15人制女子日本代表に初選出。ニュージーランドへのラグビー留学も経験し、2004年からは7人制女子日本代表でも活躍した。07年の引退後は女子日本代表のコーチとなり、12年からは7人制女子日本代表ヘッドコーチとして16年リオデジャネイロ五輪出場に導いた。現在は日本ラグビーフットボール協会副会長、女子15人制日本代表のナショナルチームディレクターを務める。

吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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