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「ノビ」「キレ」「球持ち」… テクノロジーで“野球用語”が変わる?(後編)

神事氏が挙げた選手の能力を測る“2つの指標”とは?

 近年の野球界には、さまざまな指標が増えたことは前編で触れた通り。では、“データのプロ”である神事氏からすると、どの指標に着目すれば、選手の能力が測れ、楽しめるのか。

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「これまで結果というのが、選手の能力なのか、チームの能力なのか、運なのか、すべてがごちゃ混ぜになっていた。そういうものを選手の責任を表すものを分けていくと、おもしろみが出てくる」と話し、「FIP」と「OPS」を挙げた。

「FIP」は「Fielding Independent Pitching」の略で、奪三振、与四死球、被本塁打の投手自身がコントロールできる部分から算出される数値。「OPS」は「On-base plus slugging」の略で、打者の出塁率と長打率を足して算出された数値。それぞれ投手と打者の能力を評価する指標だ。

「三振は、どれだけ捕手の能力が低くても、野手の守備力も関係ない。ただ、四球はコントロールが悪いと、いくら内野手が良くでも走者一塁になる。ホームランは、フェンスを越えてしまうので野手の守備力は関係ない。そう考えると、奪三振、与四球、被本塁打は投手の能力に依るところがとても大きい。つまり、投手の能力測る上では、『FIP』が最も正しいということになる。そういうものを評価の対象にすると、投手の能力が見えやすいと思います。

『OPS』は得点にどう貢献しているのかを考えると、出塁率と長打率の足し合わせが最も得点との関係性が高いとわかっているので、本当の打者の能力を評価できる。そうした指標に加え、今はトラッキングデータが取れるようになってきたことを考えると、例えば、ボールの回転によってシュートしたり、ホップしたり、ドロップしたり、スライドしたり、変化量の大きさがどのくらいかも評価できる。遅くても打たれない投手が評価できるようになります」

 こう力説した神事氏。現在はIT企業「ネクストベース」のエグゼクティブフェロー(主任研究員)を務め、野球界のデータ導入に尽力している。

「一つ、野球界で遅れているところはITとの融合。いくらデータがあっても、それを整理したり、計測、管理するところが十分ではない。野球に携っている人たちからITは縁遠いところがある。プロ野球に関しても同じ。そうなった場合には支援する人が必要となり、ネクストベースがあります」

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神事 努

国学院大学人間開発学部健康体育学科准教授。1979年生まれ。バイオメカニクスを専攻し、中京大学大学院で博士号を取得。2007年から国立スポーツ科学センター(JISS)のスポーツ科学研究部研究員。14年から3シーズン、東北楽天ゴールデンイーグルスでデータアナリストを務めた。現在は「ネクストベース」のエグゼクティブフェロー(主任研究員)も務め、同社で野球のデータ分析サイト「Baseball Geeks」を展開。スタットキャストの機能のわかりやすい解説なども行っている。

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