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突き動かす亡き親友・平尾誠二への思い 日本ラグビーの未来担うリーグワン理事長の情熱

日本ラグビーを支える大企業「非常に面白い事業体になる」

 チームおよびリーグ運営ではコスト面の様々な問題を抱えながらも、2019年ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の熱気は、玉塚理事長にとっても、ラグビー界にとっても想像を超えるインパクトを残した。それまではラグビー選手、関係者の中で共有していたような価値観、精神性が、ラグビーという垣根を越えて共感を呼ぶものだと確信できたことが、新リーグ誕生を加速させたのは間違いない。そこに、玉塚氏は、もう一つのラグビーならではの強みを見出している。

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「リーグワン参入チームの母体企業を見てください。トヨタ自動車、パナソニック、神戸製鋼。凄い企業ばかりです。それが一過性の応援ではなく、50年60年とラグビー部を持ち続けている。そして、幹部クラスにはラグビー部OBもいる。そこに今回のリーグワンでは協賛パートナーという形でNTTグループさん、三菱UFJフィナンシャル・グループさんなど錚々たる企業に応援いただいている。

 ラグビーを本当に新しい事業にしていくためにやるべきことは、単純にその企業名をくっつけるだけじゃない。一緒に、あるべきデジタル配信の未来を考えましょうとか、ラグビーで使うデータに、例えばアスリートを育成するためのどんなツールがあるのか、ソリューションが考えられるのかを、パートナーの方々と取り組んで、新しい事業、新しい価値観を作っていきましょうというアプローチをしていくんです。やり方によっては、非常に面白い事業体になると思いますね」

 多くの企業の幹部世代が、ラグビー人気絶頂の頃に学生時代を過ごしたこともプラス材料なのは間違いない。そのような背景の中で、日本を代表するような参入チームを抱える各社、パートナー企業と共創しながら、ラグビー特有の文化で共感を呼ぶ――。ビジネスのプラットフォームが見えてくるなかで、各チームの取り組みも重要な柱と期待する。

「それぞれのチームとリーグが、自分たちでスタジアムの手配からチケットの販売を主体的に実行していく。もちろん日本ラグビー協会の協力を得ながらになるけれど、ここはすごく頑張らないといけないところです」

 玉塚理事長が慶大でプレーしていた時代は、ラグビー人気の最盛期。その後に低迷が続くなかで、日本代表の2015年W杯での南アフリカからの金星、そして19年大会の躍進と、ラグビー界の浮き沈みを選手、ビジネスマンとして見続けてきた玉塚理事長には、一つの確信がある。

「僕らの時代は早慶戦、早明戦に国立競技場を埋めるほどのファンが入っていた。そして2019年もすごく大きな意味があった。でも遡ること10年、20年前のラグビーが苦しい時代から、森喜朗元会長を筆頭にいろいろな人たちが低迷を憂いて、もっとこうしないと、ああしないとと奔走してきた。そのなかには平尾もいた。トップリーグでも様々なチャレンジをして、サンウルブズというチームも作ったりね。そして19年で大きく流れが変わった。だからこそ、先人たちが作ってくれた流れに感謝しながら、もう一度ラグビーを盛り上げたいですよね。

 その根底ですごく大事なのが、ラグビーの裾野を広げること。リーグワン参入チームにアカデミーを持ってもらっているけれど、小学生のスクールにものすごい応募が増えても、中学でラグビーができないという子供たちを、ちゃんとラグビーに繋げていく、高校生の強化も後押ししていく。こういう地域に根差した活動で裾野を広げることが、ものすごく重要なことですから」

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玉塚元一

一般社団法人ジャパンラグビーリーグワン理事長 
1962年5月23日生まれ、東京都出身。中学からラグビーを始め、慶應大でフランカーとして活躍。1984年度の全国大学選手権で準優勝した。卒業後は旭硝子(現・AGC)へ入社しビジネスマンとしての第一歩を踏み出すと、ファーストリテイリングやローソンなどのトップを歴任。現在はロッテホールディングス代表取締役社長を務める傍ら、今年10月に一般社団法人ジャパンラグビーリーグワンの理事長に就任した。

吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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