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“見える化”が選手の能力を伸ばす? 「データ」は野球をどう変えるのか(前編)

センバツ高校野球が始まり、NPB、MLBもいよいよ開幕。本格的な球春到来に心躍る熱心な野球ファンなら最近、こんな言葉を耳にすることが多くなったのではないか。「OPS」「BABIP」「FIP」という横文字に始まり、「スタットキャスト」「トラックマン」などなど。ニュースを見ていると、知らない間に知らない「野球のコトバ」が増えている。これらに共通しているのは「データ」にまつわることだ。

球速のみならず、あらゆる“見える化”が進んでいる【写真:Getty Images】
球速のみならず、あらゆる“見える化”が進んでいる【写真:Getty Images】

新連載「THE ANSWER 野球科学部」…データのプロが語るMLBとNPBの違い

 センバツ高校野球が始まり、NPB、MLBもいよいよ開幕。本格的な球春到来に心躍る熱心な野球ファンなら最近、こんな言葉を耳にすることが多くなったのではないか。「OPS」「BABIP」「FIP」という横文字に始まり、「スタットキャスト」「トラックマン」などなど。ニュースを見ていると、知らない間に知らない「野球のコトバ」が増えている。これらに共通しているのは「データ」にまつわることだ。

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 近年、野球の見方が大きく変わろうとしている。その象徴が、MLBで導入された動作解析システム「スタットキャスト」に代表される最新テクノロジーであり、グラウンド上のあらゆるプレーが数値化されている。従来は球速くらいだったものが、投球の回転数、打球速度、発射角度……ありとあらゆる“見える化”が進んでいる。そんな革命的な進歩を遂げる時代において、私たちはデータとどう向き合えばいいのか。

「THE ANSWER」では、新連載「THE ANSWER 野球科学部」を開始。NPB球団でデータアナリストとして活躍した実績を持つ、バイオメカニクス(生体力学)の専門家・神事努氏(国学院大准教授、ネクストベース エグゼクティブフェロー)を講師に迎え、「野球を科学で見る」を“部訓”として「ノビ」「キレ」「球持ち」といった“わかるようでよくわからない用語”を科学的に解説。さらに、実際に活躍する選手の何が凄いのか、動作解析の視点からの評論など、かつてない野球コラムを展開する。

 連載開始に先立ち、そもそも、なぜ野球にデータが必要なのか。データを活用することで野球はどう変わるのか。神事氏に専門家の視点から必要性について語ってもらった。今回は前編。MLBとNPBのデータ活用の違い、そして、選手にとっての知られざるメリットとは──。

 ◇ ◇ ◇

「『データなんて…』と否定的に捉える人もいますが、そもそもデータは昔から使っていたもの。打率、打点、防御率とか誰もが使っているけど、ここに来て新しい指標が出てきたことで、注目されるようになっています」

 このように“野球のデータ化”時代を語った神事氏。とりわけ、進んでいると言われるのは、メジャーリーグ。野球の本場では、どう活用されているのか。

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神事 努

国学院大学人間開発学部健康体育学科准教授。1979年生まれ。バイオメカニクスを専攻し、中京大学大学院で博士号を取得。2007年から国立スポーツ科学センター(JISS)のスポーツ科学研究部研究員。14年から3シーズン、東北楽天ゴールデンイーグルスでデータアナリストを務めた。現在は「ネクストベース」のエグゼクティブフェロー(主任研究員)も務め、同社で野球のデータ分析サイト「Baseball Geeks」を展開。スタットキャストの機能のわかりやすい解説なども行っている。

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