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「病院に行く手前で救える」 RISEでも活躍の“闘うドクター”が産業医を選んだ理由

元々は内科医だったが、産業医に転身。アスリートのセカンドキャリアも支援する
元々は内科医だったが、産業医に転身。アスリートのセカンドキャリアも支援する

産業医は「病院にいた時には治せなかった方を治せる」

――努力目標でできていないことが多いと感じる部分はどのあたりですか?

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「健康診断を100%受けさせることは法律上で絶対と決まっていますが、受けた人の2次検査、事後フォローができていないケースが多いです。健康診断上は悪いことが分かっていたのに、そこに誰も触れず、その人が仕事中に倒れたら、それは会社の責任になります。全然リスクヘッジできていないし、従業員の健康を守ることができていないということ。

 僕たちの場合は健康診断の結果を再度チェックして、個別に『あなたは1か月以内にこういう治療をして、これくらいの数字にしないと働き方を制限しなきゃいけなくなる。夜勤、残業もさせられないよ』と一人一人フォローしていく。例えば2000人いる会社の場合、結果を全てチェックして、働き方の状況や体調を確認し、フォローの方針を決めて、本人や職場に伝えて1か月追いかけて……とずっとやっていくのですが、2000人管理しているとぐちゃぐちゃになってしまう。そこをシステム化することで、漏れが無くなりますし、無駄な作業もなくなります」

――産業医として働く一方、トレーナーも務められていますね。

「産業医は医療と健康の間くらいに立っている存在です。僕は病気を治すことより『病気にさせない医療』をやりたいという思いがあり、それには健康づくりが必須。トレーナーとしてそこを提供していきたいという思いがありました。身体づくりと言えばアスリートが一番。アスリートのセカンドキャリアとしてトレーナー業を推進していて、うまく組み合わせながら、医療でもヘルスケアでも健康を提供するということを目指しています」

――元々は内科医として勤務されていましたが、産業医・トレーナーになりたいと思ったきっかけはありますか。

「病院で働いていると、手遅れの状態で来る方はたくさんいます。今ちゃんとやっておけば、と思っていた人が来なくなるケースもどうしてもあります。病院で、受け身で待っておくだけでは治せない方々がいる。でも産業医は特殊で、従業員の健康の半分は会社のものという考え方なので、健康管理や治療に関してある程度介入できるんです。『放っておくといつか倒れちゃうから、会社にとって被害が出る』ということです。

 僕たちが積極的に治療を促せるので、病院にいた時には治せなかった方を治せるなというのが産業医だと思っています。ただ(相手は)病院に行く手前の方なので、お薬は必要ないケースなんかも出てきます。そういった場合には、生活習慣病なら運動や食事、睡眠にリスクがあるならその改善と、ヘルスケアで補える部分がたくさんある。そこに一番近いのがトレーナーだと思っています。だから私自身もトレーナーをやっていますし、アスリートのトレーナー達ともネットワークを作って、新しい仕掛けを作っているところです」

――アスリートのセカンドキャリアについてもサポートする活動をされています。池井さんが試合に出ていた当時は、選手たちのセカンドキャリアについてどう感じられていましたか。

「やってきた活動をスムーズにセカンドキャリアに繋げられていた人は少なかったですし、チャンピオンになってもバイトをしていて、というのが現実でした。今でも大きくは変わっていないと思います。

 ただ、僕たちから見ていてもアスリートはいろいろな面で素晴らしいと感じる部分がある。例えば1つのことに向かってストイックに頑張る姿勢はすごいですし、体や健康への知見も優れているので、ちゃんと活かせる場所、活かしてくれる人がいれば、やってきたことがそのままセカンドキャリアにプラスになる。

 生き直すというより、やってきたことを活かして生きていくということができるんじゃないかと思っているので、横で見て来た立場としてはサポートしていきたいという思いがあります。あとはやっぱり当時と違うのは、個人がSNSなどで発信できる時代。どれだけ自分の価値を発信できるかを求めてやっていけば、個人でも今までより色んな可能性を持って生きていけるので、そういう部分でも頑張ってほしいです」

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