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「やらなければ」から積み重なった自信 パラアーチェリー選手が切り拓いた道

2020年6月、パラアーチェリー世界ランキングトーナメント・ドバイ大会W1カテゴリー女子個人で優勝した際の写真 【写真提供:ESNINE】
2020年6月、パラアーチェリー世界ランキングトーナメント・ドバイ大会W1カテゴリー女子個人で優勝した際の写真 【写真提供:ESNINE】

前を向いて一歩踏み出す勇気から変わる世界

 東京パラリンピックの開催が決まった2013年。「私も出てみたい」と漠然とした思いで、自分でも取り組めそうなスポーツを探した時に出会ったのがアーチェリーだった。

 社会人になってから暮らす東京都の障害者総合スポーツセンターに出掛け、まずは体験会に参加。矢を放った時の爽快感に魅せられ、競技をはじめようと決意するが、ここからは工夫の連続だった。

 握力がなく弓を握れないため、弓をどうやって固定させるのか、矢を発射するリリーサーと呼ばれる装置はどのタイプがいいのか。初心者クラスの講師や射場で出会う仲間と、ああでもない、こうでもないと試行錯誤を重ねながら最善策を模索。「今のプレースタイルにたどり着くまで、3、4年はかかりました」と笑顔を見せる。

 たゆまぬ努力と練習の結果、射形が安定。2018年秋に弓を初心者用から競技用にアップグレードすると、瞬く間に成長を遂げた。2019年に初の国際大会出場となったパラアーチェリー世界大会でW1クラスの男女ミックス戦で3位入賞。東京パラリンピックの出場権を手に入れると、本番の大舞台ではW1クラスの女子個人で5位入賞の快挙を遂げた。

 事故後に前を向かせた思いが、アーチェリーとの出会いを誘い、東京パラリンピック入賞への道を繋いだ。そして、「できる」の積み重ねで生まれた自信が、思いも寄らぬ可能性を引き寄せた。勇気を持って一歩踏み出すことで、世界が大きく変わることを実体験したからこそ、今度は誰かが一歩踏み出す手助けができたらと願う。

「私自身、四肢障害があるので『私にアーチェリーなんてできるのかな?』と思いながら始めました。だから『ちょっと自分には無理かも……』と思う障害レベルの方でも気軽に『試してみようかな』と思える発信ができたらいいと思います」

「できる」のカギを握るのは、他でもない自分自身。これからも自らの可能性をさらに大きく広げつつ、誰かの勇気や希望になるような活動を続けていく。

(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)

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