益田直也、失意の福岡空港から始まった快進撃 ロッテの鉄腕守護神を救った同僚との絆
シーズン中の練習サイクルは6~7年不変「何連投しようと…」
新人王に輝いた2012年は72試合に登板するなど、投げに投げてきた益田のタフネスさも特筆すべき凄さ。オフには午前9時から午後3時にかけて行う練習のうち、およそ3分の2を走り込みや体幹トレーニングに費やすなど、1年を戦い抜ける体を作り上げてきた。
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シーズン中も、パフォーマンスをキープするためのこだわりがある。
「僕は体がどんなにキツくても楽でも、火曜日から日曜日までのサイクルが決まっているので。何連投しようが、どこかが痛かろうが、必ずやるようにしています」
試合がない月曜日以外で、曜日ごとに自分で練習メニューを設定。その日の体調に関係なく、毎週欠かすことなく全く同じメニューを6~7年こなし続けている。疲れのある時でも量を減らさないのにも訳がある。
「一回しんどいときに、楽をしたんですよ。するとパフォーマンスも落ちて。体の変化もあったし、休んで調子が上がった訳でもなかった。これじゃダメだと思って」
重要な1イニングを投げ続けるため、見えないところでたゆまぬ努力をしてきた。ロッテは最短18日にも、球団では51年ぶりのマジックが点灯する。入団からチームに貢献し続けてきた益田にとっても、初めての経験だ。
「ピッチャーは、やっぱりこういう優勝争いの時は新しい選手が出てこないとダメだと思います。期待されている人がよくない試合が何試合かあると思うんですけど、そこをカバーできる新しい選手が出てきたら、それは本当に上に残れるチームになるのではないかと。
ベテランが経験の多さでカバーしてくれたりすることはあると思うんですが、僕個人としては、誰かがどこか痛くて出られない時などに、若い選手が活躍することが大事だと思います」
今季の目標は当然優勝。プロ人生で目指したい数字は、あの岩瀬仁紀さん(元中日)の大記録、通算1002登板だ。「そこに向けて頑張りたい。宮西さんは1年目から目標にしていたので、そういう人たちに追いつけ、追い越せでやりたいと思います」。
通算150セーブを達成した試合後、ヒーローインタビューで益田は言った。「ファンの皆さん、僕たちと優勝しましょう」。SNS上では疲れを気遣う声も目立つ。それでも今日も、変わらぬ練習をこなして次の登板に備えているだろう。マウンド上で、歓喜するナインと抱き合う日を思い描きながら。
(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)