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LGBTQへの理解・気づきのきっかけに ラグビー廣瀬俊朗、五輪の多様性に見た社会の課題

廣瀬俊朗さんが感じた「東京オリンピックの多様性」について語る【写真:松橋晶子】
廣瀬俊朗さんが感じた「東京オリンピックの多様性」について語る【写真:松橋晶子】

スポーツから刺激を受け、世界を見据えたビジネスパーソンが増えたらうれしい

 僕がプレーしていたラグビーは「多様性のスポーツ」と呼ばれています。15あるポジションはそれぞれ求められる役割が違うので、大概の人は自分の個性を生かせる場所を見つけられます。また、海外出身選手でも条件を満たせば日本代表としてプレーできる。本当にいろいろな個性が集まるスポーツです。

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 いろいろな個性を持つ人たちがその人なりに楽しんだり、自分らしさを出せたりする環境がとても大事。その中で多様な個性が一つの目的に向かってベクトルを合わせられた時、ものすごく面白いものが生まれてくる。同じ考えや似た個性の人が集まると、まとまるのは簡単ですが、面白いものは生まれないような気がします。年齢、性別、生まれた国や育った環境など、いろいろな背景の人たちが集まると、今までにない「えっ!?」ということが起こりやすいでしょう。

 自分と違った個性を持つ人と出会うことで、改めて自分の良さや特徴を知ることができる。これも多様性のおかげだと思います。海外と比べると日本人は曖昧だと言われますが、実は僕もどちらかというと自分の意見をはっきりいうのが苦手なタイプ。それでも。代表キャプテンの時は伝えることも仕事の一つなので、データやファクトが好きな海外の選手にはそういったものをロジックに入れて話しかけたり、気持ちで動いてくれる日本人選手には「頼む、一緒にやってくれや」と感情に訴えかけたり、多くの学びを得ることができました。

 ここ数年、日本でも多様性に注目が集まってきました。日本は島国で鎖国の歴史もあり、他の人を受け入れることがあまり上手ではありませんでした。でも、今回のオリンピックでは外国人の監督やコーチが多く起用されるなど、少しずつ変化しています。スポーツは国際大会があり、海外との交流も多く、多様性に触れる機会が多いもの。そのスポーツの分野において、大坂選手や松山英樹選手など数多くの日本人がグローバルリーダーとして活躍しています。

 では、ビジネスの世界はどうでしょうか。日本という枠を超えて、グローバルリーダーを目指すビジネスパーソンがどれくらいいるのか。スポーツから刺激を受けながら、世界を見据えた気概あるビジネスパーソンが増えたらうれしいと思います。

 東京五輪をきっかけに、日本の社会がさらに多様性について理解を深め、多くの人にとって開かれた場になることを願ってやみません。

(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)

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廣瀬 俊朗

THE ANSWERスペシャリスト 元ラグビー日本代表 実業家

1981年10月17日生まれ。大阪府出身。5歳からラグビーを始め、北野高(大阪)、慶大を経て、東芝入り。07年日本代表初選出。主将も務め、キャップ数28。16年に現役引退後、ビジネス・ブレークスルー大学大学院で経営管理修士(MBA)取得。公式アンバサダーを務めた19年W杯は解説のほか、国歌を歌って各国をもてなす「Scrum Unison」、TBS系ドラマ「ノーサイド・ゲーム」出演など、幅広い活動で盛り上げた。現在は株式会社HiRAKU代表取締役。ラグビーにとどまらずスポーツの普及、教育、食、健康に重点を置いた様々なプロジェクトに取り組む。日本テレビ系「news zero」木曜パートナーとして出演中。

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